Wednesday, December 31, 2008

2008年の気に入ったが、なぜか書かなかったアート

2008年もアートをたくさん見た。東京のギャラリーの大移動もあったし、トリエンナーレを始めとするアートフェアもいくつもあったし、ニューヨークやパリーやロンドンへも行ったが、結果としてアートをちょっと見すぎたような気もする。見すぎると飽きるんじゃなくて、鈍くなって、感動しなくなってしまうのだが、ちょっともったいないよね。
でも気に入ったアートに関しても、せっかく写真を撮ったりしたのにいろんな理由でタイムリーにブログに書かなかったのはもっともったいないから、今になって書こうかなと思っている。(今さら、と思う人もいるかもしれないが。)

有名なアーティストの名作もいいけど、個人的に一番楽しいのは面白い若手のアーティストを「発見」することだと思う。(もちろん、僕の前にどこかのギャラリーの鋭い目のスタッフの誰かが先に見つけないと僕も「発見」できないが。)今年もそういう発見があったよ。たとえば、このあいだちょっと書いたサガキケイタさんはまさにそういう人。
4月の始めころに東京にはいくつかのアートフェアーが同時に開催されて、その中には一番元気だったのは秋葉原の廃校で行われた101 Tokyo Contemporary Art Fair。ちょうど風邪を引きかかるところもあったか、メイン会場にはそんなに感心しなかったが、2階のある部屋には不思議なピンクの人形とその宇宙人っぽいキャラクターが主人公になっているアニメのビデオがあった。
The normally nasty Tetragrammaton, rendered cute
それを作った若い女性のアーティストの森木沙織さんに聞いたら、「神様だ」って!しかも日本の神々の仲間のちょっとヘンテコなやつじゃなくて、あのキリスト教の嫉妬深くて、わがままでいやな神様だ。(ビデオをよく見たら、あのピンクの神様が地球や人間を作るが、その「人間」というものは駄作だとわかって、ゼロに戻して、地球を作り直して、こんどは自分そっくりのピンクの生き物を居住させる、という話だった。)なかなかの発想で、アートフェアの中では一番面白かった!
Mother of God, Moriki Saori

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ちょうどあの時期(3月、4月)はアートのイベントがいっぱいあったが、仕事も忙しくて、途中でとんでもない風邪を引いて、数週間もダウンしてしまったからリポートを書くのがずっと後回しになってしまった―今まで。
その時期には Sarah Sze の Maison Hermes でのインスタレーションもあった。実は、僕が Maison Hermes の展覧会がほとんどいつも好きだ。普通のキャラリーや美術館のいわゆる「ホワイト・キューブ」の白い壁と違って、ガラスだから、アーティストにとってはかなりのチャレンジにはなると思うが、それをうまく利用するとほかのところとは全然違う味のインスタレーションが可能になるのだ。以前はたとえばSuh Do-Hoの展覧会をそこで見て、一気に大ファンになったことがあるが、同じ作品を1月ニューヨークの普通の空間でまた見たが、インパクトは半分しかなかった。(Suh Do-Ho といえば、6月のロンドンで見た唯一の面白い現代美術の展覧会は Hayward Gallery でのPsycho Buildings だった。そこにも彼のすばらしい作品が2点あったけど、残念ながら写真を撮ってはいけなかった。また、東京都現代美術館(MoT)にも彼のすごい作品がパーマネントコレクションの入り口にあったが、このあいだ行ったら、なんと撤去されてしまった!しかも、どうでもいいガラクタを置くために!なにを考えているのだろう、そこは。)
そんなHermes の空間には Sarah Sze さんこそが「ガラクタ」のようなもので2階分の高さの巨大なインスタレーションを作った。この写真ではわからないかもしれないが、実際に細かくて、楽譜のようにいろんなものがアレンジされた。長い時間見ても飽きなかくて、不思議だった。
Huge installation by Sarah Sze at Maison Hermes
特に下の水道のパイプ?電源?につながっているこのティーバッグが気に入った!
Electric teabag

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3月はOmbak という、相当変わったイベントへも行った。(いつもすごい)山川冬樹のホーミーにガメラン、そしてKYOTAROのライブ・ペインティング。地球にはこんなものもあったのか。Wow!

Fuyuki Yamakawa (khoomei), Terang Bulan (gamelan), Kyotaro (live painting)

そのOMBAKへ行く途中にたまたま寄ったギャラリーには須川まきこさんのオープニングが行われていたが、それも相当変わっていた。

Opening party for exhibition of drawings by Makiko Sugawa (in the yellow dress)

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夏は21_21 DESIGN SIGHT には「祈りの痕跡」という展覧会があった。まとまりがちょっと中途半端で、全体的な印象はいまひとつだったが、杉浦康平先生による、文字の魔法の力についてのこの垂れ幕のようなものの英訳は僕だった...
(なぜかカタログの代わりの薄いパンフレットみたいな本には載っていないが。一番面白かったのに。)

Banners by Kouhei Sugiura about the magical powers of letters and characters,
with English translations by me

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2007年の「発見」の一人、木村幸恵さんの作品を見に遠い所沢(片道2時間半)や鶴見へ行ってきた。やっぱりいいよ!
Ghost installation by Kimura Sachie

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11月にオオタファインアーツには「アニマル・ガーデン」という不思議な展覧会があった。動物をテーマにして、草間彌生、小沢剛などギャラリーを代表する現代のアーティストの作品と江戸時代の(若冲ふうの)絵や中国の骨董品を合わせた展覧会で、それだけでもかなり面白かったが、「決め手」はギャラリーの間中に置かれたソファやカーペットや植物の「オアシス」っぽい演出。お茶、じゃなくて、なんとなくチャイが飲みたくなるところだった。そんな工夫をほかのギャラリーでもしてもいいよね。ちなみに、今(まだ)開催中の展覧会の「演出」もかなり凝っていて、面白い。

このちょっと豚の鼻のような犬(古代中国の陶器のもの)を見たら...
... 夏、ロンドンのV&Aで見た、やはり古代中国の陶器の虎を思い出す。
犬のほうの役割は不明だが、その虎はなんと小便器だそうだ。古代の人の発想はやっぱりすごすぎる。よくモノを(陶器とはいえ)虎の口に入れる勇気があったな。

そして昔の人のとんでもない発想といえば、パリにはルーヴル美術館へ行った。ミーハーはみなモナリザがある部屋に集まった(本当に恐ろしい混雑振りでもちろんなにも見れない)が、ほかのレオナルドの絵はだれも見ようとしなかったし、フェルメールの絵だって僕が数分間独占することまでできた。(間接的なフェルメール展さえ80万人も見に行く東京ではとても考えられないことだ。)そんなルーヴルの片隅にはこんな絵も見つけた。

Rocket monk rescues hattifatteners

ちょっと漫画ちっくにも見えるが、実は無名(?)のアーティストによる600年前の宗教画だ。誰かの聖人が刑務所の収容者を解放させる場面だと思うけど、聖人が飛んでいることはまだいいが、その半分はがされたステッカーのような、ロケットっぽい下半身はいったいどういうふうになっているの?また、開放された収容者たちはニョロニョロみたいに丸いネズミの穴から脱出するが、どうして右側にあるドアから出ないのだろう?あの階段はもしかして古代のトマソン?昔こそ本当の外国だね。

Wednesday, December 10, 2008

Ladra di biciclette

日曜日、僕の自転車があわや盗まれそうになった。しかも、おばさんに!
僕の自転車は普通のいわゆる「ままちゃり」だが、足が長いから席の棒は特注で、普通の人はまず乗れない。そんなわけで、構造ですでに十分盗難防止されていると思ったが...
スーパーの前に自転車を置いて買い物へ行ってきたが、ちょうど出たとき、なんとおばさんが僕の自転車を連れ去れているんじゃないですか。びっくりして追いかけて「すみませ~ん!」と呼んだが、おばさんは全然振り向かない。でも乗っていたわけじゃなくて歩いていたから、僕がすぐに追いついた。
「それは僕の自転車ですよ!」
「うそ!」
「そうですよ。この席の棒は特注で僕しか乗れませんよ。」
「あらっ」と、そのときおばさんが始めてなにかがおかしいことに気がついたみたい。半信半疑で自転車を見て、やっぱり自分の自転車じゃないかもしれないとわかった。「てっきり、だれかがいたずらしちゃったと思っていました」と。
「盗難現場」に戻ると、やっぱりおばさんの自転車が僕の自転車があったところのとなりに置かれた。ブランドこそは違うが、よく似たごく普通の青のままちゃりだった。棒もごく普通だった。でもそこで本当のなぞに気がついた。僕は鍵をかけていたのだ。自分の鍵を手に持っていたし。なんと、おばさんは僕の自転車の鍵を自分の鍵でなんの問題もなく開けていたのだ。二人の鍵を比べると本当にそっくりだった。それはショックだよ。自転車のメーカーはあまりにも無責任だ。

自転車の盗難といえば、昔、スウェーデンに住んでいたころのもっとすごい話もある。僕はそのとき、となりの町の夜でバイトをしていたが、ある日は電車に急いでいたのか、自転車を駅の前に置いたとき鍵をかけることを忘れてしまった。その自転車は極端に高くて、195センチ以下の普通の人は跨るどころか、ペダルにさえ届かなかくて、おまけにペダルにクリップが付いていたから慣れていないと絶対乗れないはずだった、まさに「盗難防止付き」の構造だと思っていた。でも案の定、次の朝バイトから戻ってくると鍵をかけていなかったその自転車はなくなっていた。眠くてしょうがないからタクシーで家に戻ったが、運転手さんにその話をしたら、
「大きくて青い自転車?そういうのを触る変なやつを見たよ。でもあまり遠くまでは行けなかったみたい。となりの広場で転んで救急車で運ばれたらしいよ!」
そしてお昼ごろ、ちょっと寝たあとで見に行ったら本当に自転車がその広場にあった!鍵がかかっていないまま無事におかれた。天罰が当たった自転車泥棒はどんな人、そしてどんなけがをしたのかわからないけど。

Tuesday, December 09, 2008

More Pictures of Buildings and Food - Hong Kong

今回の香港で泊まっていた地区の上環にはちょっと変わった食材料のお店が多い。フカヒレにツバメの巣、見たことのない草やきのこ、そして... 干しトカゲ?いったいなにに使うのだろう。出汁かな?2匹1組で棒に十字張りのようについているが、うちわや卓球のラケットであるまいし、はさみ揚げのためじゃないだろうね。
Dried lizards. For soup stock?
Or some sort of bizarre ping pong rackets?


食べ物だけじゃない。お葬式のとき、一緒に焼くあの世のための「必要品」を売っているお店も並んでいる。車やスーツやコンロや家はいいけど、フィリピン人のメイド?麻雀のセット、DJのターンテーブルにヴィトンのバッグ。なんでもそろっている。
Bling for the next world

変わったものを売るお店だけじゃなくて、相当変わったものを買うお店もある。胆石とか。漢方薬の高価な材料らしい。
Used in traditional Chinese medicine.
Apparently they are quite expensive too.


かなり昔、"Rude Food" という「やらしい料理」の写真集が欧米に流行っていた。別に変な材料を使ったわけじゃなくて、普通の料理をちょっとエッチな演出で撮ったのだが、この香港のレストランの大きなポスターの写真を撮った人(またはレストランの経営者)はいったいなにを考えたのだろう。
Rude food, Hong Kong style

Sunday, November 30, 2008

Fragile Beauty in Hong Kong

この世紀に入ってから、僕の一番の気に入るの音楽はHuong Thanh(フン・タン)のアルバムだ。2001年、初めてDragonflyというアルバム(特に2曲目の "Bakida" のヴェトナムの民族楽器のダンバウの音)を聞いてから完全にはまっている。何回聴いても飽きない。実際に100回以上聴いても飽きない。そんなのは人生の中でも、持っている数千枚のアルバムの中でも数枚しかない。
フン・タンは一応ヴェトナム民族音楽のトップレベルの歌手だが、これは普通の意味での「民族音楽」じゃない。ジャズのラベルからでているが、普通の意味での「ジャズ」でもない。似たようなものがこの世の中にまったくないみたい。(あればほしいから、ずっと探しているんだけど。)
実は、「フン・タンのアルバム」といっても、この音楽を考え出したのは作曲・編曲の凄腕のジャズ・ギタリストのNguyên Lê(ヌイェン・レー)。彼は「ヴェトナム人」といっても、ヴェトナム人の親を持つパリ生まれのフランス人で、長年いろんなヨーロッパのジャズのミュージシャンやアフリカのミュージシャンと一緒にやってきたが、95年当たり自分のいわゆる「ルーツ」を探すためにヴェトナム民族音楽を基にしたジャズのプロジェクトを始めて、そのためにやっぱりずっと(ヴェトナム戦争以来?)パリに住んでいるフン・タンを見つけたそうだ。最初のコラボレーションは彼の名前で発表された Tales from Viêt-Nam というアルバムだが、そのあとの4枚はフン・タンの名前ででている。ほかのメンバーはジャズの人、アフリカ系やアラブ系の人、そして最新のアルバムには琴を弾く日本人の女性まで、といったパリならではのミックス。とにかくすばらしい。
(ヌイェン・レーのほかのアルバムもなかなかいいが、それは別のときの話。)

しかし、日本にはなかなか来ない(どうも、なぜかだれも誘わない)から、11月16日香港にライブがあることを聞いたときは最初はちょっと迷っていたが「まあ、最近香港へ行っていないから香港でもいいか!」と決心して、コンサートの4日前に緊急にフライトとホテルの予約して、香港のチケットの売り場に電話してコンサートの席も予約して見に行ってきたんだ!そしてやっぱり最高だった!
Signed program!

ライブは最新アルバムとだいたい同じ7人のメンバーで、(在パリの)フランス人、ヴェトナム人、カナダ人そして日本人の国際的な組み合わせ。コンサートの途中で写真は取れなかったが、終わった後、なんとアーティストとのQ&Aもあった。映画祭などにはよくあることだが、コンサートでは珍しい、というか今までそんな経験がないと思う。アートフェスティヴァルの中のイベントだったからかもしれないがよくわからないが、とにかくQ&Aも終わった後、直接ヌイェン・レーとフン・タンに直接話することもできたし、プログラムもサインしてもらった。(ああ、こんな歳で「アイドル」の前で興奮するなんてね。)

Q&A after the show with Nguyên Lê and Huong Thanh

Hao Nhiên Pham with some of his many traditional Vietnamese instruments,
Dan Bau in front.

Thursday, November 13, 2008

Instant Picasso

六本木の国立新美術館やサントリ美術館では只今大きなピカソ展が行われている。
ところで、家のセッチンの棚の上にも妙にピカソっぽいものを発見した。Photoshopじゃないよ!タイの免税店のビニール袋が偶然にそうなっていただけだ。

本物のピカソ展も悪くないよ。実はあまりファンじゃない(よく考えるとピカソの色彩が好きじゃない)けど、あれだけ数年ごとに何回も何回も「生まれ変わって」新しいスタイルを発明する人はやっぱりすごい!あれだけたくさんのもの、しかも全然違ったスタイルの絵も彫刻も漫画までを一人の人間が作ったなんてはちょっと信じられない。展覧会を回るのにそれなりに時間がかかるけど、想像していたより楽しかった。

Friday, October 31, 2008

ULTRA

青山のSPIRALで今(3日まで)ULTRAという、25人の若手のキューレーターによるアートフェアが行われている。1人1壁を使って、あまり広くないスペースにあれだけたくさんのアートがよく入ったな、とちょっと感心した。ただ、狭いからあまり大きい作品をほとんどだれも出してこなかったし、強いインパクトのある作品もあまりない。でもまあ、いいや。場所は場所(青山)だから、「ファッション」や「アクセサリ」としてのアートでもいいかもしれない。


また、9階には値段の高目の作品を集めた「VIPルーム」もあった(初日だけ?)。「集めた」といっても、11点しかなかったが、それよりもあそこは普段なかなか入るチャンスがない会員制のラウンジで、展示されているアートよりも部屋そのものに感動した(写真を撮ることを忘れたぐらい)。豪華なアール・デコの窓やソファは80年代の建物というより80年前の建物の感じ。庭園美術館にあって不思議じゃない部屋がスパイラルにあって不思議だ。

でもフェアの中に新しい発見はやっぱり一つあった!CASHIのサガキケイタさん。一見普通に見える(実は僕も最初は数回前を通ったが、何も気がつかなかった)が...

... すぐ近く(20センチぐらい)から見ると、いろいろ見えてきて、実は相当変わっているんだ。
面白い!この人の7日からの個展も楽しみだ。

Thursday, October 09, 2008

ぶーりん家の姉妹

The Other Boleyn Girl という映画がまもなく日本に公開されるらしい。いい映画かどうかわからない(たぶん僕の趣味じゃない)が、日本語名を始めてみたときくすっと笑ってしまった。こんなことを考えたのは僕だけかな?

Sunday, September 28, 2008

The Twittering Machine



昨日の夕方、たまたま藤沢で電車を乗り換えたとき、駅前のある木に無数(数千羽?数万羽?)の鳥たち(鳩?)が集まっていた。ものすごい勢いで飛んできたり、猛ヴォリュームで鳴いたりして、不気味なくらいだった。あの木にはなにがあったのだろう。えさになる好物の虫の群れ?それともあそこは鳩たちのラブホテル街なのかな?不思議だった。

Tuesday, September 16, 2008

Yokohama Triennale

第3回の横浜トリエンナーレのオープニングへ行ってみたが...

なにを言えばいいのだろう。なぞの多い展覧会だが、いったいだれのため?

有名なアーティストはたくさん出ているが、その選択は不思議。カタログをチラッと見たら、アーティストの半分は「ニューヨーク在住」。残りのアーティストのなかにも北米系のアーティスト、あるいは「ロンドン在住」やせいぜい「ベルリン在住」が目立っている。アフリカや東ヨーロッパのアーティストはぜんぜんいないし、アジアのアーティストも少ない。もっとひどく、「横浜在住」のアーティストは一人もいないんじゃないですか!ここはアメリカのどこかじゃなくて横浜だろ?横浜をテーマにしたアーティストさえいない。それぞれのアーティストを選ぶ理由があったとしても、そこまで偏っているとおかしいぞ!

実は「なにがあるのか」をいうよりも、「ない」ものを並べたほうが早い。
  • たとえば、若手の日本人のアーティストがいない。出ている日本人のアーティストでさえ主に60年代、70年代、やっぱりニューヨークで活躍した人が多い。
  • 第1回のバッタや第2回のコンテナーの門のような目印がまったくない。それどころか、パブリックアートが全然ない。
  • 「素人」でも素直に楽しめる作品や笑ってしまう作品がほとんどない。(例外は以下の Pedro Reyes ぐらいかな)。そういえば、ひねくれでもよかったが、ユーモアがまったく足りない!
  • Time Crevasse という、かなりわかりにくいスローガンからは去年のドクメンタのような展覧会を目指したことを推定できるが、ドクメンタほど大胆でも派手でもない。むしろびっくりするほど地味だ。
  • 内覧会のとき、第一会場の「新港ピア」の一番最初に入る部屋にはなにもなかった!チラシには「ヨナタン・メーセ」と書いてあったが、まだできていないモデルルームの感じだった。道理でみんなの第一印象が非常に悪かった。実は二日目になって、メーセさんはやっと(僕が見なかった)パフォーマンスであの空っぽのスペースをいろんな「ガラクタ」で埋めたが、遅いじゃない?もっと奥のほうの部屋ならはともかく、入り口からすぐの部屋でしょう?キュレーターたちはいったいなにを考えたのだろう?そもそも、今回はパフォーマンスを重視すると言っているが、それはそれでいいとおもうが、問題はパフォーマンスが行われていないとき、そのスペースには何があるのか、ということ。お金を払った人は空っぽの部屋やアーティストが別の日に使う日曜大工の道具なんかを見たくないのは当たり前じゃない?
  • あと、これは愚痴かもしれないが、オープニングレセプションには政治家の自画自賛のスピーチなどはあったが、食べ物が出なかった!僕のようにお昼から歩き回った人も、明らかにレセプションの豪華なビュッフェを目当てにやってきた人たちも、みんながおなかがすいていた。もともと今回のトリエンナーレに関してかなり厳しい意見をしかもっていなかったのに、空腹のせいでその不満がさらに高まって、みんなが早めに帰ったり、別のところに食べにいったりしたからちっとも盛り上がらなかった。また、キュレーターたちはいったいなにを考えていたのだろうか。
「ない」ものをおいておいて、結局あるのは、かなりわかりにくくて、地味な作品。僕は決して難しい作品がだめだと言いたくないし、思ってもいないが、「(時間さえあれば)解説を読んでおけば面白いかもしれない」というような作品が多いのに、時間の問題どころか、解説のチラシもないし、トリエンナーレのガイドブックにもたいしたこと書いていないし、スタッフに聞いてもなにもわからない(なにも知らされていない)からまったくしょうがなかった。(そこがまたキュレーターたちの大きなミス。たくさんのボランティアをせっかく集めたのに、作品の内容、アーティストの狙いなどについてなにも教えてあげなかったみたい。結局、日本の美術館のいつものつまらない調子と同じで、観客がインターアクティブなはずの作品にさえ絶対に手を触れないことにすばやく注意すること以外、役割は特にない。もし僕がボランティアだったら、それで満足しなかったよ!ある作品と一緒に何時間も過ごさなきゃいけないなら、その作品についてもっと知りたいのは当たり前じゃない?それとも当たり前じゃない、今の若者にとって?まぁ、まだ始まったばかりだからこの点はまだよくなるかもしれない。)
といわけで、作品の意味やアーティストの狙いがぴんとこないなら、結局「どうでもいい」で終わってしまう。もったいないじゃない?



まあ、文句はそこまで。いい作品ももちろんあるよ。

まず、唯一笑った部屋はペドロ・レイエス (Pedro Reyes) の二つのインスタレーション。
片方は Fischli & Weiss へのオマージュの熊とネズミのぬいぐるみだが、よく見ると息している!

Pedro Reyes’ breathing hommage to Fischli & Weiss

(残念ながら、Fischli & Weiss 本人たちのビデオインスタレーションには頭が痛くなるような余計なカメラの動きが多すぎて、あまり見ていられなかった。楽しみにしていたのに、がっかりした。)
レイエスの部屋のもう一つの作品は"Baby Marx"という、共産主義の歴史を超ばかばかしいSF人形劇(!)の映画としての予告編。

Baby Marx

スティーヴン・プリナ(Steven Prina) の新港ピアのインスタレーション はぴんとこなかったが、土曜日のパフォーマンスはすばらしかった。プリナさんは16ミリの映画とその中の音楽に合わせてピアノを弾いたが、フィルムは途中で終わって、手で巻き戻されて再び始まったとき、プリナさんのタイミングがぴったり合っていた!ありえない!そんなのをわざとやろうとしてもまずうまく行かないから本当に毛が立つほど神秘的だった。あとで、映像を作ったマティアス・ポレドナ (Mathias Poledna) とちょっと話したが、プリナさんと一緒やるのがそのときが初めてだったって!また、映像に出てくるなかなかいい曲は1970年ごろ、Harry Nilsson という歌手が歌っていた "City Life" という曲なんだけど、昔の音源はマルチトラックじゃなかったのでそのまま使えなくて、曲をこの映像のために録音しなおして、歌っているのは実際に映像にも出ている Jason Falkner という、いまのシンガーソングライター。だれかがパフォーマンスを最初から最後まで(30分ぐらい)を撮ったといいな。


City Life with Steven Prina on piano, and Jason Falkner singing in the film by Mathias Poledna.



ずいぶんきれいになった旧BankART NYK (カタログに使われているのは正式の名前の「日本郵船海岸通倉庫」とあまりにもくどすぎる。役所の調子に乗るなよ!)のほうでは1階にあるヘルマン・ニッチュ (Hermann Nitsch) の部屋がすごい!60年代から続いている、数日にわたる、牛のいけにえもあり、十字張りもありの「お祭り」で有名だが、壁にはその記録写真やビデオが映っていて、奥のほうにはお祭りに実際に使われた、血まみれの道具やキリスト教の神父の服などが置かれている。映像はかなり強烈なので、入り口に注意文も貼ってあるし、係員も入ろうとする人をわざと注意するが、そのおかげでむしろ好奇心が沸いてきて、入る人の数が増えた、と中にいたニッチュ氏の代表がいたずらっぽい表情で説明してくれた。
Part of Hermann Nitsch's very powerful installation

ニッチュのインスタレーションは血も、内臓も、気持ちも、すべて本物。それに対して、3階にあるポール・マッカーシー (Paul McCarthy) の大きなインスタレーションはうるさいだけだ。人形の足が切断されて、ケチャップが飛ぶなんて、くだらなすぎるよ。本物に対してのハリウッド板だね。
大物として期待されたマッシュー・バーニー (Matthew Barney) も普通のテレビ画面に映るビデオしか出してこなかった。(これではキュレーターたちもがっかりしたでしょう。)彫刻もなければ、画面の前に座るベンチさえないし、不親切なことにビデオの長さ(数分?それとも数時間?)も表示されていないので、すぐ退屈になってあきらめた。(もととも、個人的にマッシュー・バーニーの映画は非常に退屈だと思っているが。すごいイメージがいっぱいあるから、映画の写真集が結構好きなのに対して、映画のほうは眠ってしまうのか、早送りで見る。(実は4倍速が適切なんじゃないかと思う。)イメージだけで映画にならないよ。動きもなければ、動画じゃないよね。)

1階のヘルマン・ニッチュの部屋の隣にある勅使河原三郎のインスタレーションおよびパフォーマンスの空間も悪くなかった。ただ、本人がそこに踊っていないときはどうなっているのだろう。音とグラスだけだとあまり面白くないかもしれない。


Teshigawara Saburo strutting his stuff on crushed glass



今回のトリエンナーレのとてもいいアイディアのひとつは横浜の名所である三渓園を一つの会場として使うことだと思う。実は、僕が会場の中ではそこが一番気に入った。元々散歩するのが楽しくてきれいなところだし、公園の中にある古い民家や茶室に「アート」が入るとさらに楽しくなった。ただ、問題なのは三渓園はアクセスが非常に不便で、ほかの会場から極端に離れているところにある。初日だけは新港ピアからのシャトルバスが1時間おきに出たが、それでも片道30分かかってしまった。それ以降は市営バスしかないので、もっと時間がかかりそうだから、行かない人も多いと思うが、それは大きな損だ。やっぱり行くべし!
三渓園には作品がそんなに多くないが、たとえば今回僕が結構期待していた霧の彫刻家(!)の中谷芙二子の作品はがっかりさせなかった。公園の中の谷のようなところに、ときどき濃い霧が発生して、そして怪しげなピンクのライトで中から照らされて、ちょっと幽霊っぽくなっている。不思議だった。風向きが湿度などに反応するセンサーで動いていて、実はかなり複雑な仕組みらしいが、一時的なパフォーマンスじゃなくて一応期間中にずっと動くという。(ただ、風向きによって霧がすぐそばにある、内藤礼が使っている部屋にも入ってしまって、元々「見えるか、見えないか、本当になにかがそこにあるのか、それとも幻か」のような内藤さんの作品が霧の中に消えてしまう、というクレームがついたそうだから、止められるときもあるかもしれない。)
Installation in Sankeien by fog sculptor Nakaya Fujiko



でも今の横浜に開催されるのはトリエンナーレだけじゃない。いろんな関連イベント(というか、同時開催のイベント)もある。たとえば、BankArt Life II 展には、トリエンナーレに足りなかった遊び心が逆にあふれている。トリエンナーレには全然いない若手の日本人のアーティストはZAIMの The Echo展に集まっている。そしてなんといっても、トリエンナーレにはないパブリックアートは(4日間だけとは言え)横浜美術館の前の空き地に展示されて、夜はライトアップされた。在日ドイツ人の彫刻家のフロリアン・クラール (Florian Claar) のこの「彷徨えるオランダ人」は本当にすばらしかった。これこそがトリエンナーレの目玉にも、話題づくりの目印にもなりえたのに、キュレーターたちは身近なものに全然目をむかないで、ニューヨークばかりで探していたでしょうね。(そして候補に上がったものはあまりにも高すぎて、スポンサーがつかなくて、結局断念せざるを得なかった、といううわさ... ああ。)

Florian Claar's absolutely stunning Flying Dutchman
- Much better than anything in the Triennale itself!

結論は、この秋の横浜のアートイベントを総合的に見ると、かなりすごいよ。ただ、残念ながらその中には中心になるはずだったトリエンナーレこそが一番弱いリンクかもしれない。アートが好きな横浜の市民として非常にくやしいことだ。
それでもいつもアートを見に行っている人たちは当然行くべきでしょう。自分の目で確かめるべきだ。(だが1日で全部見れると思わないほうがいい。)
しかし、アートの通でない、一般の人に進めたいかと聞かれると、ちょっと微妙だな...

Friday, September 12, 2008

As for the Ingurish

This particular piece of drivel appears on the door to Omotesando Hills, one of Tokyo's snottier purveyors of bling for the nouveau riche. As the motto for this emporium seems to be "Abandon all money, ye who enter here," one would have thought that they could have afforded a competent translator as well. Not so. In fact, the real message is that they couldn't care less.

Sunday, August 31, 2008

アイスクリーム論:2

このまえ、横浜の赤レンガで全国から集めた100種類もの珍しいアイスクリームのフェアーをやっていた。まあまあ普通のフルーツ系のものももちろんあったが、目立っていたのはなんといっても「ゲテモノ系」のほうだった。横浜の名物の「ばしゃみちアイス」ならぬ「ばさしアイス」とか。馬刺しだよ!秋刀魚のアイス、イカのナイス、牛タンのアイスなど、どう考えてもおいしいはずのないものが驚くほどたくさんあった。
Rather unexpected ice cream flavors.
From top left: sharkfin, raw horsemeat, beef tongue, shrimp.
Soy sauce to pour on ice cream

その中で試したのはうなぎのアイス。まあ、うなぎ(のタレ)は元々かなりケーキっぽい味だから、そんなに無理な味じゃないと思う。うなぎパイなどもあるしね。そして食べてみたら実際に結構うまかった!うなぎはどれくらい入っていたのかは不明だ(すくなくとも固まりはなかった)が、タレの味はしっかりしていた。ちょっともったいないのは、カップの外側に山椒のパックがついていたが、それに気がついたときはもうアイスを食べ終わっていた。かけたらさらにおいしくなったかもしれないから残念だった。また食べるチャンスがあるのかな。
Very tasty eel ice cream
山椒といえば、スウェーデンには Mjuk pepparkaka という、スパイス入りのシフォンケーキがある。とても庶民的なケーキで、普通はカーダモンやシナモンが入っている ("peppar" は湖沼の意味だが、湖沼こそが入らない)が、僕は昔、山椒で作ってみたことがある。やっぱりおいしかった。(ガラム・マサラもOK!)こんどはうなぎのタレで作ってみようかな...

そして変わったアイスクリームといえば、今夜見た映画、João César Monteiro監督の "A comédia de Deus" (「神のコメディー」、1995年、たぶん日本で未公開)、にはMonteiro自身が演じるアイスクリーム職人(およびスケベオヤジ)の主人公は陰毛のアイスを作ろうとしている。さすがにそれは横浜のフェアーに売っていなかった。
アイスクリーム作り(牛乳風呂で)

Monday, August 04, 2008

The Bat Tattoo

Russell Hoban という結構好きな作家がいる。子供のための本で有名らしい(amazonなどで検索するとそっちのほうばかりが先に出てくる)が、それらを読んでいない。僕が興味を持っているのはもちろん彼の大人向きの本だ。しかも、それは今風の幼児な「大人」のためじゃなくて、人生のいろんな経験をつんで、たくさんの本も読んできた人のためだ。短いけど、奥が深い。(最近、珍しいよ、そういうの。)
  この10年ぐらいの彼の小説にはいろんな共通点がある。(お互いに似ているともいえるが、ほかの作家の小説にはあまりにていない。)主人公はだいたい中高年の美術館系の仕事(評論家、学者、人形職人など)をしている一人暮らしの男性(やもめ、離婚者など)。美術館へ行ったり、町をぶらぶらしたりするけど、とにかくよく考える人。それぞれの主人公は女性に出会うが、ドラマチックな恋愛ものじゃない。あくまでもホーバンさんが興味を持っている(場合によってかなりおたくっぽい)話題(クラシックから現代までの美術、音楽など)の議論が主人公たちを通してメインテーマになるが、ホーバンさんの独特なユーモアと不思議なほど軽いタッチでちっともくどくならない。

その中には2回も読んだ The Bat Tattoo (「蝙蝠の刺青」の意味だが、和訳は今のところなさそうだ)という2002年の小説がある。47歳になった主人公は肩に刺青を入れようと思って、模様にはロンドンの Victoria & Albert 博物館にある古代中国の陶器の器の蝙蝠を選ぶ。(そしてその蝙蝠を見つめながら、やはり肩に同じ蝙蝠の刺青がある女性と出合って、やがて交通事故用の人形をテーマにした彫刻家になるが、小説の第一課はここで読むことができる。)
  その器は本当にあるのか、それともホーバンさんが「勝手に」考えたのかは前からちょっと気になって、もし本当にあるなら見てみたいな、と思って。このあいだのロンドンでV&Aに確かめに行った。本に書いてある所有場所の Level D は(今?)ないが、中国の陶器のセクションへ行ったら、見つけた!解説の "Lobed bowl, painted with bats, a symbol of happiness. Mark and Reign period of Yongzheng, 1722-1735" は小説とまったく同じだったから、間違いなし。器はたぶん移動されたし、ホーバンさんが小説を書いたときと同じ方面が前にあるかどうかはわからないが、主人公が気に入るのは下の、上へ飛ぶ「やる気満々の幸せそうな蝙蝠」だ。確かに刺青として悪くないかも。
  なお、蝙蝠は中国では幸せを意味するのはただ発音(の最初の部分?)が同じだからだけだそうだ(つまり「幸福」の「コー」)。僕は中国語ができないからどこまで同じなのかははっきりわからないが。

(ちなみに、僕は刺青なんかがないよ。「若い子」はびっくりするほどみな持っているみたいだけど、40代(かかそれ以上)の人にはちょっと... という感じだよね。でももし入れるならやっぱりブタかな。)

Monday, July 28, 2008

アイスクリーム論

Cinnamon and poppy ice cream (Malmö)
シナモンとケシの実のアイス(スウェーデン)

Lime and rose petal ice cream (Paris)
ライムとバラの花のアイス(パリ)

旅行するとよくアイスクリームを食べる。暑いときにはおいしいし、面白そうな種類もたくさんあるし、そしてなんといってもどこでも売っているから食べたい気持ちがすぐ沸いてくる。
ところが、日本に戻ってきてから考えたが、どうして日本にはアイスクリーム屋さんはあんなに少ないのでしょうか。こんな暑い日にこそ食べたいのにね。ヨーロッパには商店街や広場、公園やビーチ、ショッピングモールやイタリアンカフェなどにはかならずといっていいぐらいあるから、探す必要もなく、振り向けばそのへんにある、といった感じだ。しかも、どこかの大きな工場で作られたつまらないワンパターンのものじゃなくて、自家製の、その場でしか食べられないものが多い。(そっちのほうがずっとおいしいから。)
それに対して、日本では自家製のアイスクリームを売っているところが圧倒的に少ないだけじゃなくて、そのほとんどはデパチカの片隅とか目立たないところばかりにある。ヨーロッパと違って本当に探す必要があるのだ。でもいったいどうして?アイスクリームが嫌いな人のことはあまり聞かないよね。
やっぱり一つの大きな違いは、ヨーロッパではアイスの食べ歩きは当たり前で、小さなスタンドでアイスを買って、そしてスタンドから離れて歩きながら食べるのか、近くのベンチなどに座ったり食べるのか。日本人はアイスの「お店」でアイスを買って、そしてそこから離れないでその場で食べる。つまり、アイスクリームを売るところは客席(あるいは少なくとも数人の客さんが立って食べることができるスペース)も確保しなきゃいけない(本当にそんな法律があるのか、それともただの習慣なのかわからない)ので、経営が高くつく。でもつまらなくない?暑い日においしいのにね。

Wednesday, July 23, 2008

Taxidermy

旅行の途中、変な剥製を見た。
まず、パリのPalais de Tokyoで展示されたこの像は本物だよ!天井からぶら下がっているのじゃなくて、見た目の通り鼻に立っている。重そうに見えるが、カタログを見たら実はほとんど空っぽで、相当な技術が必要だったでしょう。(剥製とは関係ないが、ほかにも変わった作品がいくつかあった。猛スピードで壁にビール瓶を撃つ機関銃みたいな機械とか、たくさんのDarth Vader がいっぱい入っていた部屋。それ実態はどうでもいいかもしれないが、フランスでは彼の名前は違っていて、Dark Vador という発見にすごくびっくりした。)
剥製の話に戻るが、タイのホアヒンに変な革製品のお店を見つけた。靴やベルトやバッグをオーダーメイドもできると書いてあったが、閉店のあとだったから実際には入れなかった。ワニやダチョウなどの(革製品として)ありがちな動物以外にもスティングレイやキリンもいる、そしてなんといっても間中にいるのはシーラカンスじゃありませんか!シーラカンスの靴なんかはいったいいくらするのだろう。
しかし、オーダーしても日本に持ち込んでいいのかどうかはまた別の問題。

Monday, July 21, 2008

パリ、シャツと食事

パリに行ったのは、もちろんマスタードが本来の目的じゃなかった。いつものアートを別として、シャツと食事だった。シャツに関しては、僕を見たことのある読者がわかると思うが、日本にはほとんど服が買えない。特に腕が長いからシャツや上着がほぼ不可能だ。しかし、残念ながらその問題は日本だけじゃない。スウェーデンとかにはサイズはたまにあるが、面白いものやおしゃれなものはあまりない。(そもそも、スウェーデンは日本人のイメージと違って、あまりおしゃれしない国だから。)特に今年は非常に地味で、白、黒、青のワンカラーのシャツしかなくて、柄物がまったく見かけなかった。つまらないな。
でもパリにはあった!少なくともシャツは。(ジャケットも探したが、どうも僕のサイズのジャケットはファッションの都のはずのパリには1着もないみたい。僕の体形のフランス人がいないのか。やっぱりいないかも。後で、すごくいいジャケットをロンドンで見つけたが、それは別のとき紹介する。)
日本やスウェーデンの紳士服売り場に地味なものしかなければ、パリの男たちは派手な柄物や真っ赤やドピンクを好んで着るみたい。(下着もそんな感じ。)よかったね、僕にとって。
気に入りのフランスのブランドのNodusは日本に僕のサイズを輸入するのをやめた(うらぎりものだ!)から、パリに探すしかないと前から決めていたが、意外と難しかった。店舗は何件もあるが、いつ通り過ぎても「昼休み中」とか「すぐ戻ってきます」のようなメモが窓に貼ってあって閉まっていた。実はNodusだけじゃなくて、パリのお店の時間感覚は一般的にかなりアバウトみたい。そしてやっと開いているところを見つけたら今回のコレクションはちょっと微妙だったな。友達がよく僕をからかって、僕の趣味のシャツは「シャツ」じゃなくて「男性ブラウス」だといっている。まあ、そうかもしれないが、だからといって本格的な女装まではしたくない。決して安くないということもあって、結局、比較的に素直な1枚しか買わなかった(写真の1番右)。
でも夜ぶらぶらしているとき、偶然に閉まっているお店の窓にもう一つのすごいブランドを見つけた!「やわらかいコットン」の意味の Coton Doux。ホテルに戻ってから早速ロビーのパソコンでそのブランドの売店を探して、メモして、そして次の日行ってみた。やっぱり大当たり!男性ブラウスオンパレードだった。ほしいのがいっぱいあって選ぶのがたいへんだったが、結局写真の左からの3つを買った。扇風機のやつ、ちょっとかわいい緑色の水玉のやつ、そしてこの前にも紹介したスクーターのやつ。エレキギターのは残念ながら僕のサイズがもうなかったが、代わりにエレキギターのパンツを買った。
ただ、日本に戻ってきてからは長袖のシャツを着るのにとても暑すぎて、まだ一度も着ていない。やっぱり10月ごろまで待たなきゃ。
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おしゃれとともに、パリ人は食事もとても大事にしている。入ってみたいレストランは山のようにあったが、最初の夜はいきなり昔のままのインテリアで有名な、パリを代表するブラッセリの Bofinger へ。すべてのガイドブックに進められているから当然観光客が多いが、パリ人もたくさんいたから安心した。そしてやっぱり伝統を裏切らないでうまかった。
Foie gras with champagne jelly and a glass of excellent Gewürtztraminer
オードブルには(好物の)フォアグラにチャンパンのゼリー。
ウェイターのお勧めのゲヴュルツトラミネルもぴったり。
Duck breast grilled to perfection, served with porcini-stuffed mashed potatoes
メインの鴨肉の焼き加減は絶妙。さすがだね。でも一番うまかったのは、なんと写真の後ろのほうにあるマッシュポテトだった!口に入れるまでにはわからなかったが、実はポルチーニがいっぱい入っていて、涙が出るほどおいしかった。簡単そうだけど、今まで聞いたことのないアイディアで本当にすばらしい発想だ。
ヨーロッパだからそれぞれの一品の料は半端じゃなかったが、当然デザートも食べた(アプリコットのフラン、しかも一人分として出たものは日本なら4人分になっただろう)が、満腹のせいかなぜか写真を撮るのを忘れてしまった...
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Bofinger もよかったが、今回の旅で一番気に入ったレストランは今、パリでもっとも注目されている(らしい)地区の一つ、Canal Saint Martin のすぐ近くのところ。僕はいつも町をぶらぶらするとき、おなかがすいていなくても、さっき食べたばかりのときでも、通り過ぎるレストランのメニューをチェックしたりするくせがある。面白そうなもの、食べたことのない食材や組み合わせがあれば、「またここに来よう」と頭の中にメモしておく。ここはまさにそういうところだった。おまけにその名前は "Et dans mon coeur il y a..." (「そして私の心の中には...」!一日目見て、二日目食べに行ったが、やっぱり当たりだった!
インテリアもよさそうだったが、夏だから結局外のテーブルにした。同じように、印刷されたメニューにはおいしそうなものもいっぱい載っていたが、結局黒板に書いたその日のメニューにした。正解だった。
まず、オードブルはハドック(白身魚)と青林檎のタルタル。組み合わせは新鮮だが、味はだいたい予想通りの「白身魚と青林檎」の感じ。お皿はどうもフランスでも日本の四角いお皿がおしゃれとされている。
Tartar of haddock and Granny Smith
メーンは僕が最近はまっているホホ肉。今回は豚のホホ肉のハチミツとローズマリーの煮込み。それと一緒に出たのはサフラン風味のポレンタ、とまた珍しい。それぞれの(小さい)鍋ででてきたが、なぜか食べるお皿がなくて、直接鍋から食べるはずだ、とちょっと変わっていた。まあ、僕はそういうことに抵抗ないけど。とにかくうまかった!ホホ肉はかなり甘かったが、ポレンタに合わせるとちょうどよかった。ポレンタは普通、あまりおいしくないと思うが、サフランが入ったことによって別世界のものになった。両鍋をきれいに空っぽにした。
Pork cheeks with honey and rosemary, served with saffron polenta
デザートの演出もまたおしゃれだった。パッションフルーツのゼリーにパッションフルーツのムース、そして一番上にはパッションフルーツの殻から炎が上がるラム酒。(その最後は味的にちょっと余計だったかもしれないけど。)
Passion fruit jelly and mousse...
しかも、「台」はラヴァーランプのようなもので、色が赤→緑→青に変わったりした。なかなかやるね。
... on a lava lamp coaster