Monday, August 04, 2008

The Bat Tattoo

Russell Hoban という結構好きな作家がいる。子供のための本で有名らしい(amazonなどで検索するとそっちのほうばかりが先に出てくる)が、それらを読んでいない。僕が興味を持っているのはもちろん彼の大人向きの本だ。しかも、それは今風の幼児な「大人」のためじゃなくて、人生のいろんな経験をつんで、たくさんの本も読んできた人のためだ。短いけど、奥が深い。(最近、珍しいよ、そういうの。)
  この10年ぐらいの彼の小説にはいろんな共通点がある。(お互いに似ているともいえるが、ほかの作家の小説にはあまりにていない。)主人公はだいたい中高年の美術館系の仕事(評論家、学者、人形職人など)をしている一人暮らしの男性(やもめ、離婚者など)。美術館へ行ったり、町をぶらぶらしたりするけど、とにかくよく考える人。それぞれの主人公は女性に出会うが、ドラマチックな恋愛ものじゃない。あくまでもホーバンさんが興味を持っている(場合によってかなりおたくっぽい)話題(クラシックから現代までの美術、音楽など)の議論が主人公たちを通してメインテーマになるが、ホーバンさんの独特なユーモアと不思議なほど軽いタッチでちっともくどくならない。

その中には2回も読んだ The Bat Tattoo (「蝙蝠の刺青」の意味だが、和訳は今のところなさそうだ)という2002年の小説がある。47歳になった主人公は肩に刺青を入れようと思って、模様にはロンドンの Victoria & Albert 博物館にある古代中国の陶器の器の蝙蝠を選ぶ。(そしてその蝙蝠を見つめながら、やはり肩に同じ蝙蝠の刺青がある女性と出合って、やがて交通事故用の人形をテーマにした彫刻家になるが、小説の第一課はここで読むことができる。)
  その器は本当にあるのか、それともホーバンさんが「勝手に」考えたのかは前からちょっと気になって、もし本当にあるなら見てみたいな、と思って。このあいだのロンドンでV&Aに確かめに行った。本に書いてある所有場所の Level D は(今?)ないが、中国の陶器のセクションへ行ったら、見つけた!解説の "Lobed bowl, painted with bats, a symbol of happiness. Mark and Reign period of Yongzheng, 1722-1735" は小説とまったく同じだったから、間違いなし。器はたぶん移動されたし、ホーバンさんが小説を書いたときと同じ方面が前にあるかどうかはわからないが、主人公が気に入るのは下の、上へ飛ぶ「やる気満々の幸せそうな蝙蝠」だ。確かに刺青として悪くないかも。
  なお、蝙蝠は中国では幸せを意味するのはただ発音(の最初の部分?)が同じだからだけだそうだ(つまり「幸福」の「コー」)。僕は中国語ができないからどこまで同じなのかははっきりわからないが。

(ちなみに、僕は刺青なんかがないよ。「若い子」はびっくりするほどみな持っているみたいだけど、40代(かかそれ以上)の人にはちょっと... という感じだよね。でももし入れるならやっぱりブタかな。)

2 comments:

arakawan said...

「幸福」の「コー」じゃなくて「フク」のほうですね。
「蝙蝠」の北京語の発音はbiānfúで「福」は「fú」...

Kusagauma said...

なるほど、そっちのほうね。