Sunday, August 31, 2008

アイスクリーム論:2

このまえ、横浜の赤レンガで全国から集めた100種類もの珍しいアイスクリームのフェアーをやっていた。まあまあ普通のフルーツ系のものももちろんあったが、目立っていたのはなんといっても「ゲテモノ系」のほうだった。横浜の名物の「ばしゃみちアイス」ならぬ「ばさしアイス」とか。馬刺しだよ!秋刀魚のアイス、イカのナイス、牛タンのアイスなど、どう考えてもおいしいはずのないものが驚くほどたくさんあった。
Rather unexpected ice cream flavors.
From top left: sharkfin, raw horsemeat, beef tongue, shrimp.
Soy sauce to pour on ice cream

その中で試したのはうなぎのアイス。まあ、うなぎ(のタレ)は元々かなりケーキっぽい味だから、そんなに無理な味じゃないと思う。うなぎパイなどもあるしね。そして食べてみたら実際に結構うまかった!うなぎはどれくらい入っていたのかは不明だ(すくなくとも固まりはなかった)が、タレの味はしっかりしていた。ちょっともったいないのは、カップの外側に山椒のパックがついていたが、それに気がついたときはもうアイスを食べ終わっていた。かけたらさらにおいしくなったかもしれないから残念だった。また食べるチャンスがあるのかな。
Very tasty eel ice cream
山椒といえば、スウェーデンには Mjuk pepparkaka という、スパイス入りのシフォンケーキがある。とても庶民的なケーキで、普通はカーダモンやシナモンが入っている ("peppar" は湖沼の意味だが、湖沼こそが入らない)が、僕は昔、山椒で作ってみたことがある。やっぱりおいしかった。(ガラム・マサラもOK!)こんどはうなぎのタレで作ってみようかな...

そして変わったアイスクリームといえば、今夜見た映画、João César Monteiro監督の "A comédia de Deus" (「神のコメディー」、1995年、たぶん日本で未公開)、にはMonteiro自身が演じるアイスクリーム職人(およびスケベオヤジ)の主人公は陰毛のアイスを作ろうとしている。さすがにそれは横浜のフェアーに売っていなかった。
アイスクリーム作り(牛乳風呂で)

Monday, August 04, 2008

The Bat Tattoo

Russell Hoban という結構好きな作家がいる。子供のための本で有名らしい(amazonなどで検索するとそっちのほうばかりが先に出てくる)が、それらを読んでいない。僕が興味を持っているのはもちろん彼の大人向きの本だ。しかも、それは今風の幼児な「大人」のためじゃなくて、人生のいろんな経験をつんで、たくさんの本も読んできた人のためだ。短いけど、奥が深い。(最近、珍しいよ、そういうの。)
  この10年ぐらいの彼の小説にはいろんな共通点がある。(お互いに似ているともいえるが、ほかの作家の小説にはあまりにていない。)主人公はだいたい中高年の美術館系の仕事(評論家、学者、人形職人など)をしている一人暮らしの男性(やもめ、離婚者など)。美術館へ行ったり、町をぶらぶらしたりするけど、とにかくよく考える人。それぞれの主人公は女性に出会うが、ドラマチックな恋愛ものじゃない。あくまでもホーバンさんが興味を持っている(場合によってかなりおたくっぽい)話題(クラシックから現代までの美術、音楽など)の議論が主人公たちを通してメインテーマになるが、ホーバンさんの独特なユーモアと不思議なほど軽いタッチでちっともくどくならない。

その中には2回も読んだ The Bat Tattoo (「蝙蝠の刺青」の意味だが、和訳は今のところなさそうだ)という2002年の小説がある。47歳になった主人公は肩に刺青を入れようと思って、模様にはロンドンの Victoria & Albert 博物館にある古代中国の陶器の器の蝙蝠を選ぶ。(そしてその蝙蝠を見つめながら、やはり肩に同じ蝙蝠の刺青がある女性と出合って、やがて交通事故用の人形をテーマにした彫刻家になるが、小説の第一課はここで読むことができる。)
  その器は本当にあるのか、それともホーバンさんが「勝手に」考えたのかは前からちょっと気になって、もし本当にあるなら見てみたいな、と思って。このあいだのロンドンでV&Aに確かめに行った。本に書いてある所有場所の Level D は(今?)ないが、中国の陶器のセクションへ行ったら、見つけた!解説の "Lobed bowl, painted with bats, a symbol of happiness. Mark and Reign period of Yongzheng, 1722-1735" は小説とまったく同じだったから、間違いなし。器はたぶん移動されたし、ホーバンさんが小説を書いたときと同じ方面が前にあるかどうかはわからないが、主人公が気に入るのは下の、上へ飛ぶ「やる気満々の幸せそうな蝙蝠」だ。確かに刺青として悪くないかも。
  なお、蝙蝠は中国では幸せを意味するのはただ発音(の最初の部分?)が同じだからだけだそうだ(つまり「幸福」の「コー」)。僕は中国語ができないからどこまで同じなのかははっきりわからないが。

(ちなみに、僕は刺青なんかがないよ。「若い子」はびっくりするほどみな持っているみたいだけど、40代(かかそれ以上)の人にはちょっと... という感じだよね。でももし入れるならやっぱりブタかな。)