Monday, December 13, 2010

再びHanoi

数か月前、急にまた Bun chaや Cha ca が食べたくなった。しかし、それを食べさせてくれる日本でのヴェトナム料理のお店が知らないし、9月の代々木公園のヴェトナム祭りの屋台で食べた"Bun cha"の偽物があまりうまくなかったから、結局また「グルメのハノイ」へ行くしかない、と決心した。今回は切符が以外ととりにくかったが、11月末にやっと行ってきた。
出発の前に天気情報を見て、「毎日27度前後で、最低気温19度」とのことだったから、ほとんど半そで・短パンの服ばかりを持って行ったが、そんな占いはもちろん見事に外れてしまった。ハノイに着いたときはどんよりと曇っていたし、現地の人たちはみんなセーターと上着を着ていたのに、それでも寒がっていた。 そんな天気がずっと続いていたので、短パンどころか、日本の空港への往復のために持っていた上着は大活躍になった。しょうがないね。
ちなみに、去年大けがした空港のモニターは今年フラットスクリーンに変わったから、今回は無事にパスポートコントロールを通ることができた。よかった。

Street Food

ハノイの屋台には例のBun cha と Cha ca 以外にもおいしいものがいっぱいある。
たとえば Banh ghoi という肉入りの揚げパイ。

Banh ghoi: very tasty deep-fried meat pies

朝から売っている焼きたてのフランスパンも捨てがたい。さらに朝食として目玉焼きをその場で焼いて入れてくれた。
Hai Phong morning bread, stuffed with a freshly fried egg

道路際で食べるのだけじゃなくて、料理をするのも文字通り道路際だ。オートバイの群れが30センチぐらいの距離で通ることを見ると衛生面はどうかと思うときもあるが、この炭火+排気ガス焼きのブンチャ用の豚肉はやっぱりおいしかった。
Charcoal and bike exhaust fume grilled pork
Washing tomatoes

冬の名物か、体が温まるというカタツムリのスープはあっちこっちで見たから、試してみた。やっぱりこれもなかなかおいしい。エスカルゴ―のニンニク風味とは関係ない、海の味だった。ハーブ、トマト、ビーフン、厚揚げなども入っていて、意外とさわやかな味。英語の看板やメニューがあるところには snail (=カタツムリ)にはなっているが、実はなにかの巻貝なんじゃないかと思う。つまる陸上のカタツムリじゃなくて、小さいサザエのようなものとか。
 
Snail soup?
Actually, they are probably sea snails, but quite delicious
Snail soup shop

この不気味な黒いものはさすがに試さなかった。最初は変なプラスチック製のおもちゃとか何かだと思ったが、実はビール缶に植えた(?)鳥の足のようだ。食べ物として売っていたのは間違いないが、でもなぜあんな怖い形になっているのか、なぜ黒いのか、謎が多い。
Alien chicken feet

ハノイ人は(他のヴェトナム人に比べれば)そんなに犬肉を食べないらしいが、「犬肉」のヴェトナム語(thịt chó)がわかってから、いろんなところで見てしまう。普通はこれほど派手でないが...

Hanoi hot dog
Ninh Binh cold dog
今回は犬こそ食べなかったが、もっとすごいものに挑戦した。(以下続く。)

Lenin

旧市街にいると、ヴェトナムは一応(まだ)共産主義の国だちうこことを完全に忘れてしまう。空港のパスポートチェックや税関もすいすい楽々で、余計な書類などの手続きは一切なし、数秒で通過してしまう(どこかのいわゆる「自由の国」とえらく違うね。)でも旧市街以外のハノイの部分をぶらぶらするとレーニンの名前が未だにあっちこっちに登場する。たとえばレーニン公園という大きな公園がある。広い池があるし、キッチュなコンクリートのモニュメントもあるが、相変わらずの曇りの天気のせいか、僕が行ったときその公園はガラガラで、さびれた遊園地のような雰囲気だった。
 
しかし、そんな公園はなぜか結婚式や結婚記念写真の名スポットになっているらしい。せっかくなのにあんな天気とスモッグで霞めている風景はちょっともっといないような気がするけど。
 
Weddings in the smog at Lenin Park

別の公園で、レーニンはサッカーの審判にも努めている。
Lenin as football referee

独特のクリスマス飾りもある。
Hanoi Christmas decorations

Cat Ba and Hai Phong

ハロン湾のツアーへ行くとき、Cat Ba 島の1泊のパッケージが多いが、僕が去年行ったとき船の2泊のオプションを選んだから Cat Ba へは行かなかった。というわけで、今年はそこへ行ってみた。今回はツアーじゃなくて、自分でバスやボート(そのコンビネーションの切符は4時間かかる片道が約700円)で行って、あまりきれいじゃなかったけど安いホテル(1泊500円)に泊って、次の日はフェリー(200円)でハイフォンへ行って、そこにももう少しいいホテルに1泊(1000円)して、そして電車(200円)でハノイに戻った。ヴェトナムに旅行するのはまだまだ信じられないほど安い。

結論としては Cat Ba はどうでもよかったが、それは行ってみないと分からないよね。海に入るつもりで水着とかを持っていたが、とてもそんな天気じゃなかった。もう完全にオフシーズンになっていたからそこにも人が少なくて、海に入れなければすることもあまりなかったから1泊でいい。(一応国立公園のトレッキングがポピュラーだが、話によるとかなりきついし、そういう目的の靴や服も全然持っていなかった無理だった。)

Cat Ba 行きの最初の2時間のバスには観光客のためか、運転手の趣味なのかわからないが、なぜかABBA などの一昔の音楽のDVDがずっと流れていた。音楽そのものはともかくとして、ABBAのファッションは当時でも趣味がよかったわけではないけど、今見ると呆気にとられるほどだ。そしてABBAの後はさらに趣味が悪いモダン・トーキングという80年代ドイツ人の二人組のDVDに変わった。不思議の国の旅だ。
ハイフォンで別のバスに乗り換えて、そしてこのスピードボートに乗った。Cat Ba島でさらにもう一つのバス。やっぱり4時間かかってしまった。
泊っていた部屋はたいしたことなかったが、バルコニーからはこんなビューだった。
 
View from the balcony of my $6 room at Cat Ba
Cat Ba town waterfront

ハイフォンはほとんどガイドブックに載っていなかったり、数行で片付けられたりしているが、数百万人も住む大都会だから、「きっとなにかがあるはずだ」と思って行ってみた。そして実は不思議なところだ。普通の意味での観光スポットなんか全然ないし、英語はほとんど通じないけど、そのおかげ(?)で一晩歩き回っているあいだほかの外国人は一人も見かけなかった。つまり、観光客が多いハノイよりもここは本当のヴェトナムなのかもしれない。カフェが多くて、ある道には10件も並んだりしている。しかも、みんな満席だった。カフェの文化の町なのか。
ヴェトナムコーヒーは世界で一番おいしいことはいうまでもないが、そのなかでも僕が人生で飲んだ一番うまいコーヒーはハイフォンの朝、Carmenというちょっと高級なカフェで飲んだ1杯なんじゃないかと思う。残念ながら寝ぼけていたから写真を撮るのを忘れていたが、ヴェトナム式のコーヒーはドリップするのに10分もかかる場合があるが、当然そのあいだ冷めてしまう。ところが、Carmen ではカップがお湯入りの小さい椀に入っていて、暑いままだった。そして濃くて、ダークチョコレートのとろりとした感じで、最高だった。
(ちなみに、いいコーヒー豆を買ってきたが、ここで作るとヴェトナムの味をまだうまく再現できない。というより、僕が作ったコーヒーは足元にも及ばない。やっぱり豆だけじゃなくて、淹れるコツも一つや二つありそうだ。)

Haiphong by night

お金をねだって、カラオケ機を押しながら回る人は何人かいた。朝の8時ても。
Ambulating karaoke - at 8 o'clock in the morning

ハイフォンからは電車でハノイに戻った(2時間、200円)。電車の中ではじめてほかの外国人を見かけたが、ヴェトナム人たちはみんな車内に放送された笑い番組やケータイに夢中だった。
Very cute ticket girls at Hai Phong station



The single track runs close by the houses in Hanoi

Tam Coc

今回のもう一つの小旅は「陸のハロン湾」といわれる Tam Coc というところへの日帰りツアーだった。これはホテルで予約したからちょっと高め(全部込みで29ドル)だが、いいや。「観光客が多すぎる」という文句はネットで見たけど、オフシーズンだったからか、あまり問題に感じなかった。とにかくとてもきれいなところだ。またハノイのスモッグから離れると天気も少し良くなってきてくれた。
Tam Coc は「三つの洞窟」の意味だそうで、川が通る三つの低いトンネルのことなのだ。(去年のラオスで見た洞窟にはちょっと比べモノにならないけど。)まずはちょっとサイクリングしてから、ランチを食べて、そしてボートで川に1時間半も乗るというパターンだ。ランチにはその地方の名物であるヤギの肉が約束されたが、結局焼き鳥の大きさの串が一本しかでなかった。(あとは普通の野菜とか豚肉とか。)




それぞれのボートには客さんが二人しか乗れないから、一人だった僕はマレーシアから来た女性たちのグループの一番の美人と一緒になった。28歳の小学校の数学の先生だって。
Pretty mathematics teacher from Penang
ボートを漕ぐ人はときどき手じゃなくて足で漕いだりしている。
 
そのやり方でかなりのスピードを出す人もいる。
 
帰りのバスから見たスモッグの夕陽の中の岩と教会と工場の塔。

そして決まりのトイレのサイン


ヤキネコ

さてさて、最後にはなるが、ハイフォンへ行く理由はもう一つあった。 それは、そこになんと猫料理のレストランがあるといううわさを聞いたからだ。
とてもおかしい話だが、実は昔々、僕が小さいころ嫌で食べたくなかったものがあったとき、お茶目のおじいさんが「それが炒めた猫肉だよ!」と説得さえしてきれれば、僕はなんでも楽しく食べてしまった。ほかの肉の種類はもちろん、大嫌いなニシンさえ「ネコ」になりすまして入ってしまった。
でもハイフォンではそういった猫になりすましたものじゃなくて本物の猫料理がある。着いた午後にぶらぶらしたときそれっぽいところを全然見なかったので、ホテルのフロントに聞いた。犬猫のレストランはやっぱり限られていて、中心部にはないが、そういうようなお店がならんでいる道を教えてもらった。多少変な目で見られたのも無理でもない。そもそも外国人があまりいない町に猫料理を探す人はまれだろうね。
そんなわけで中心部から郊外のほうへ向かって歩き始めた。地図にはそんなに遠いようには見えなかったが、30分歩いても全然見つからない。暗くなっていたし、車が多いハイウェイのような道路で、別に歩いて楽しいところじゃなかったからもうそろそろギブアップしようと思ったそのとき、まずは犬料理屋さんを発見した。とりあえず正しい方向に向かっている証拠だ。その次は犬も猫もあるという看板のお店(というか暗い屋台)だったが、「今日は猫がない。でもこの次のところにはきっとあるよ!」といわれた。
そしてさらに一キロを歩いたら、とんでもない看板を見つけた。
そう、ペットショップじゃなくて、本当に猫料理の専門店だ。本当に首輪付きのかわいい猫を食べさせるのか、と思ったが、ヴェトナムの猫料理屋さんの看板はこんな調子らしい。(ちなみに、"meo" はもちろん「猫」のことで、"lau" は「鍋」の意味だそうだ。)
罪の意識は強かったが、ここまで来たからとりあえず深呼吸して入ってみた。

英語はもちろん全然通じないし、メニューなんかなかったが、ほかの人がなにを食べているのかを見て厨房(というか、部屋の片隅の屏風の裏)を除いた。そこでチェフが一匹の猫を解体しているところだったが、幸い頭や毛皮はもうなくなっていた。すでに「肉」の塊だけだった。そのなかでモモ肉っぽい部分を指して、グリルしてもらえないか、のように手話で伝えて、テーブルに戻って、待ちながらビールを飲んでいた。
お店には少なくてもそのとき男性客しかいなかった。女性が猫を食べないのか、あるいは食べてはいけないのかよくわからないが、たまたまそういう夜だっただけかもしれない。ソテーした猫肉を食べる人もいれば、猫スープを飲む人もいた。鍋こそは見なかったが、時間はまだ早かったのかな。

 
しばらくして、焼いた猫肉とその付き合わせの具が運ばれてきた。ヴェトナム料理には必ず出るハーブや葉っぱは当たり前だが、ゴマせんべいやスターフルーツにはちょっと驚いた。さらに唐辛子が入ったソースもでたが、これは案外パルメサンっぽい味で、うまい。
肉を葉っぱとスターフルーツにはさんで、ソースにディップする。 そしてなんと、すごくおいしかった!猫肉の本来の味なのか、香草(レモングラス?)の味付けのおかげなのか、食べたことのないさわやかな味だ。くせはないが、鶏肉のようなつまらない味でもなかった。本当にびっくりするほどおいしくて、楽々全部をたいらげた。途中で若い店長さんが珍しい客の僕のテーブルにやってきて、不透明で緑色の怪しいお酒を注いでくれたが、自分でも飲んでいたから大丈夫だろうと思って乾杯した。「おなかにいい」とのこと。また「スタミナにに犬肉もいいけど、猫が一番だ」って。

猫肉は僕にとって犬よりタブーだった。猿も食べたこことあるから、あと残っているのはもはや人肉だけなのか。
日本に戻ったとき、おボツ様はどう反応するのかちょっと心配していたけど、いつものようにべたついているから、せめて変なにおい(つまり「共食いの臭い」)はしないみたい。それはよかった。

1 comment:

Mikki.Y said...

罪の意識はないけど、ネコは食べられないかも〜!ってか深呼吸しても、お店にさえ入れないかもしれない。それにしてもおいしいんだ。。。食べてみたいけど、やっぱり怖い〜