Saturday, November 05, 2005

美毒

今、六本木のRoentgenwerkeでは、「毒」をずっとテーマにしている長谷川ちか子さんのかなり面白い展覧会をやっているよ。
元 の発想は"Gift"という単語は英語(と日本語)では「贈り物」の意味なのに対して、ドイツ語では「毒」という意味、という不思議だ。(ただ、あえて言 うと、たくさん の言 語ができると、そんな偶然は結構普通だから、そんな深い発想じゃないと僕は思う。ちなみに、スウェーデン語では "Gift" は「毒」の意味も「結婚している」の意味もある。)まぁ、それはともかく、彼女の作品はいつも面白い。

今 回のテーマは江戸時代に使われていた有毒の化粧品の「おしろい」(白粉)。鉛が入っていたので、長く使うと鉛中毒で死んでしまう可能性もあるとわかってい たのに、歌舞伎の役者や花魁たちそれを使い続けていたのだ。美しさのためなら死んでもいい、というわけだね。長谷川さんの作品は本物の浮世絵の上に、お しろいが塗られた部分だけが見えるようなマットをかぶせて、そして毒物の公式をプリントする。かっこういいよ!一枚買ってしまったくらいだ。(ここにはお くところがもうまったくないのに。)

見得を切る長谷川さんと僕が買った作品

オー プニングパーティーには歌舞伎座などで現役の顔師のパフォーマンスもあった。Roentgenのスタッフの女の子がプロに白く化粧されるという、普段 はなかなか見れないものをみなが20分以も上本当に静かに見ていた。(ちなみに、今は禁止になった鉛じゃなくて、チタンを使うそうだから、今回のモデルの 子は大丈夫でしょう。)

おまけに、毒入りのクッキーも出ていた!でもそれはまったくの偶然だったらしくて、気がついたのは僕だけだったみ たい。イタリア製の Amaretti というクッキーはアーモンドと砂糖でできているが、ほんの少しの bitter almonds も入れることによって、苦味の隠し味を与えて「大人の味」に変身させる。ところが、bitter almonds にはガスチェンバーにも使われている青酸が入っている... 大量を食べるとそれも危険らしいよ。

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