ミュンスターはとにかく「自転車の町」とアピールしようとしていて、駅の出口の目の前には町が経営している大きな自転車レンタル屋さんがあるぐらいだ。実際に、今回の企画をほかにまわる方法もないと思う。歩くのには完全に遠すぎるし、車でいけないところも多い。というわけで、僕が予約したのは「2泊+1日の自転車のレンタル+ランチボックス」といった最適なパッケージを提供するホテルだった。
もちろん、自転車をテーマにした作品もある。これは僕がすごく気に入っている、2005年のヴェネチアのビエンナーレの一番大きな発見の Guy Ben-Ner の作品。いつもの彼のものと同じように本人と彼の子供たちが出ていて、「自転車泥棒ごっこ」をやって自転車の部品を使った有名な美術作品(デュシャンのいすに付いた車輪とか)を美術館から「借りて」、巧みに一台の自転車を組み立てて、ミュンスターを走り回る、といった内容のビデオだ。しかも、ビデオモニターは自転車に付いているので、見るためには自分で安定したスピードで10分間ぐらいこがなきゃいけない。(こぎ方によって早回しや逆回しもできる!)それが楽しくて1回以上見てしまった。面白い発送だし、本人はなかなかいい人に見えるし、天才的な日曜大工だし、これはやっぱり今年のミュンスターの目玉だ、と僕以外にも思っている人にたくさん会った。
もう一つの気に入った作品は Susan Philipz's サウンド・インスタレーション。大きな公園の中の人口湖を渡る橋の下の両側から Offenbach のデュエットを歌って、毛が立つほどきれいだったが、音だけだから写真がないし、録音が風邪の雑音のせいで失敗したが、しょうがないね。(Philipzさんといえば、3月ごろ、日本での初の個展のために来日したとき会ったんだけど、初めての日本で「是非、地震を体験したい!」とウキウキワクワクだった。実現したのかな。)
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Mike Kelley の Petting Zoo も面白かった。間中に立つのは塩でできた「ロトの妻」の像。(聖書の話にはソドムが破壊されるとき、神様の命令に逆らって振り向いてしまったから塩に変わった、という。また、この像は実は僕が去年行ったポーランドの塩の鉱山の職人たちが掘ったものだ。)三つのビデオモニターにその「ロトの妻」という名前が付いている世界中の岩などが写っていている。そしてそのあいだに歩き回っているのは塩を舐めるのが好きな動物のロバや山羊だ。いわゆる「ふれあいの動物園」だから子供連れの家族には人気だった(Mike Kelleyさんの作品は普通あまり「家族向き」じゃないよね?)が、雨だったから周りは泥っぽくて、糞くさかったから僕はちょっと... (動物とのふれあいは猫で十分。)ミュンスターの彫刻祭りの一つの特徴は、昔(10年前、20年前、30年前)の作品の一部は町の宝物として残っていて、今でも見れるのだ。たとえば1997年のHuang Yong Ping のこれ(間中はデュチャンのボトルドライアーだよね?):
や Thomas Schütte の1987年の Kirschsäule:
これは展覧会の作品じゃないけど、すごいなと思った。なんと「虫のホテル」だそうだ!
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