ただ、ちょっと意外なのは、バカ安い庶民的なレストランや屋台はみんなすごいおいしかったのに対して、楽しみにしていたクルーズ船の「グルメ」料理はたいしたことなかったし、高級のヴィエトナミーズ・フレンチのレストランも残念ながら期待はずれだった。
でもうまいほうから始めよう!
まず、「チャー・カー」という魚料理が食べたかったから、2日目のランチには、ほとんどのガイドブックに載っていて、例の「夏至」にも登場するCha Ca La Vong という老舗へ行った。このレストランではその料理を発明したかどうかはわからないが、歴史が長いから道路までがお店から名前をとっているんだそうだ。中は観光客よりもヴェトナム人が多くて、ちょっとドレスアップして来た家族などのグループもいくつかいた。メニューには Cha Ca という一品しかないから、みんながそれを食べに来たわけだ。値段は100,000 VND (約500円)とヴェトナムの庶民的な料理にしてはかなり高いほうだが、(それともだからこそ?)やっぱりみんながちょっと特別なものを食べているという感じだった。
ところが... 僕が注文して、料理がでた途端に気がついた。カメラをホテルの部屋に忘れていたんだ!ああ、自分が間抜けだ!それが悔しかったし、味も素晴らしかったから、ハロン湾から戻った夜は責任を持ってもう一度「取材」しに行った。今回こそはカメラ付きで。


もう一つの非常に庶民的で、「大当たり」のハノイの名物料理は「ブン・チャ」。これもやっぱり滅茶うまいから最初の日(医者を待ちながら)のランチにも、最後の日のランチにも食べた。

ハロン湾のところにも書いたが、船の上の料理は案外普通だったからちょっとがっかりした。魚やカニやエビが出たりして、全然まずかったわけじゃないけど、味付けが単調でちょっと工夫が足りなかったな。
でもビールのつまみとして出てきたこの「コーンのてんぷら」が面白かった!シンプルだが、あまり見た覚えがない。
せっかくだから、ちょっと高級なフランス系ヴェトナム料理も試したかったから、最初の夜はガイドブックにもネット上にも絶賛されるGreen Tangerine というところへ行って、フルコースを食べたが... 残念ながらちょっといまいちだった。メニューの一品一品の説明を読むと全部が食べたくなって選ぶのが難しかったし、古い植民地時代のきれいな家にあって雰囲気も良かった(しかし、客さんは観光客ばかりで、ヴェトナム人は一人もいなかったと思う)し、出てきた料理も非常にきれいだったが... 細かいところのどこかで微妙におかしくなっていた。ちょっと複雑すぎたかもしれない。そんな意味で、たとえばメインの味は「ハーモニー」というより「雑」だったし、この写真のオードブルの「パルメザンヨーグルト入りのシュークリームと玉ねぎのジャム」は発想が素晴らしかったし、見た目もとてもおいしそうだが、中には氷のかけるが入ってしまうとやっぱりいけないよね。そういうところがあるかぎり「星」がつかないな。
最後の夜にも、おでこの糸をとったあと、La Cantine という、新しくておしゃれな高級のところへ行った。ハノイで読んだある記事に登場した「マンゴとフォアグラのラビオリ」という一品に惹かれて行ったが、結局それを食べないで、6品のテイスティング・メニューにした。(バカンスの最後の夜だったし、やっと包帯から解放されたこともあった。)そこもインテリアは上品で、金持ちそうなヴェトナム人の客のグループもいたが、またも料理に妙な当たり外れがあった。オードブルに出た「ホタテとトリュフのムース」は聞こえも見た目も素晴らしかったが、なんときついお酢の味しかしなくて、はっきり言ってまずかった。(本当に不思議なほどまずかったから、そんな味のはずがなかったと思う。ちゃんと訓練されていないスタフがビンを間違えたとか、いろいろ想像できるが、やっぱり一流のつもりのレストランにはあり得ないことばかりだ。)そのあとのメインの肉もデザートもとても良かったが、やっぱり全体的にはちぐはぐだった。
でもハノイのコーヒーにははずれがない!やっぱり世界一だ!
