昨日、横浜トリエンナーレのオープニングへ行ってきた。
今回のメイン会場が横浜美術館に決まったことを聞いたときの僕の最初のリアクションは「じゃあ、それならあまり汚いことができないな」ということだったが、その通りだ。内容の質はかなり高いと思ったが、あまり「前衛的」どころか、むしろちょっと地味だ。
今年はは77名のアーティストが参加して、300くらいの作品が展示されているが、以前のトリエンナーレに比べれば規模がずっと小さい。以前と違って、全部を数時間で十分回ることができる。(「時計」を何時間観てもいいことを別として。)まあ、横浜市はおととしの出鱈目の「イベント」などのせいでお金がないからしょうがないだろうね。震災もあったから、開催されること実態に感謝すべきでしょう。ただ、特に野外のものがほとんどないことは非常に残念だと思う。こういうイベントにはやっぱり一般の人の目にも入るカラフルでにぎやかな作品が欠かせない。最初のトリエンナーレのバッタのように、写真写りが良くて話題になるなにか。そんなお金がなったのか、そもそもそういう発想さえなかったのかは不明だが、実際、そういうような「お祭りっぽい作品」がないからか、「特別のイベント」の雰囲気が全然ない。むしろ、普通の横浜美術館のまあまあいいほうの展覧会を回るのとほとんど変わらない感じだった。
オノ・ヨーコのガラスの迷路の電話ボックス。期間中にときどき本人から電話がかかってくる予定だ、といわれたが、本当かな。
Wilfried Prieto の2800万個の偽ダイアモンドのなかには本物がたった1つだけ入っているんだって。後ろの富井本裕さんのキンキラキンの作品は実はピンでできているが、純金のピンは入っていないと思う。
Han Sungpil の "Melting"
Live painting by Sato Ataru
杉本博司の五輪塔
ちょっとSFっぽい作品を集めた部屋には Mike Kelley のカンドール(スーパーマンの故郷)のモデルや...
... タイガー・立石の未来都市の絵がある。
今回の特徴の一つは新しい作品の間には横浜美術館のコレクションのものもかなり入っている。(特にシューレアリスムの立派のコレクションを持っているが、それも普通の展覧会+常設展を見る印象をさらに強くする。現代の作品がコレクションのものに負けてしまうことも少なくないし。)
歌川国芳の1840年代のもの。
今回のトリエンナーレのポスターにもなっているが、ビデオは Rivane Neuenschwander のもので、その前に置いてあるクリスタルボールは Ryan Gander の作品。ヴェネチアに続いて、ここにもへんてこなパイプオーガンが現れた。こっちのほうはMassimo Bartolini の作品。
一つの面白い工夫は妖怪ものを集めた部屋。巻物、挿絵、映画のポスターから妖怪のパチンコ機まで。
「キモノ」ならぬ「クモノ」。
美術館の入り口の外で Shimabuku がハムを作っている。初日でも匂いが結構強かったが、数ヶ月経つとどうなるんだろう。
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もう一つの会場の BankART NYK ではやっぱりヴェネチアと同じように、Christian Marclayの The Clock が目玉だ。(昨日はさらに45分を観た。)また、夜の部分に関しては本人に聞くチャンスがあった。なんと、そのうち夜の部分も上映されるオールナイトのイベントを予定しているそうだ。日にちはまだ決まっていないが、10月あたりになりそうだ。
それ以外は、ここにも Rivane Neuenschwander の作品が面白い。卵のカラなんだけど、光の前に持ち上げると中には文字が入っている。
(少なくとも「中に入っている」ように見える。しかし、どうやって文字を中に入れたのかをいろいろ考えたら、もしかして「中」じゃなくて、ある光を当てないと見れないいわゆるあぶり出しインクで表面に書かれている可能性もあるんじゃないかとも思うが、どうだろう。結局作家さんの秘密だね。)
それぞれの階には Henrik Håkansson の大きな木の作品がある。これは横たわっている「落ちた森」。
Jun Nguyen-Hatsushibaの桜の花の形のルートに走るプロジェクト。そういうふうにすると、ホーチミン市の地図は本当に桜の木に見える。
Mud Hippo by Dewar & Gicquel
関連イベントが(まだ?)非常に少ないが、YCCにはPeter Coffin によるグリーンハウスがある。植物に音楽を聞かせるともっとよく育つというアイディアが昔からあるが、ボアダムズのEYEさんの音楽でははたしてどんな効果があるのだろう。なんとなく、まっすぐ植えてこないような気がする。
The secret life of plants
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