週末はG Tokyo というアートフェアへ行ってきた。数年間、1月の伝統行事だったアグネス・ホテルのフェアが去年で最後だったので、これはそれに代わるアートフェアだろうが、ギャラリーの数を15か所に絞られたし、場所は森ビルということもあったから、それぞれのギャラリーのブースがゆったりしていて、天井も高かかった。かなり窮屈だったアグネスと違って頭やひじの危険を全く感じさせなかった。
ただ、よく行くギャラリーばかりだったから、アートそのものに関してのサプライズは残念ながらあまりなかった。(もう期待してもしょうがないかもしれない。)
まあ、お金さえあれば、ワコウの Gerhard Richter のはがきサイズの写真/ペインティングが良かったが、やっぱり高い。この右上のが気に入ったが、すでにだれかの金持ちの人に抑えられた。奥の壁には億単位の大作もあった。
SCAI のブースの前にかなり盛り上がっていた。壁にかかっているAnish Kapoor の漆の鏡もいいけど、やっぱりそれも億に行っているんじゃないかな。ちなみに、Kapoor さんの作品にはいつも吸い込まれたり、距離感覚を失ったりするが、この作品に限っては表面のわずかな埃(!)のおかげで、距離がわかってしまった。
ちょっとした発見はケンジタキギャラリーのところの横内賢太郎の光っているペインティング。僕の勝手な想像では、まるで消えかけた絵や油絵の下の別の絵をX線で調べるとき浮かんでくる不思議な映像のようだったが、作家さんと話したらそれはどうもやっぱり僕の勝手な想像にすぎなかったが、写真のネガなどは関係しているみたい。とにかく、本当に光っていた。
このフェアの一つの面白い工夫として、それぞれのギャラリーのスペースにはちょっと変わったデザインの家具が置かれた。中でも印象的だったのは ARATANIURANO のところのこの椅子。最初はきれいな模様だなと思っただけだが、よく見たら段ボールでできている。
しかし... 実は、この日はコンテンポラリー・アート・フェアへ行く前に、お昼は上野の国立博物館の土偶展を見てしまった。そっちのほうがすごくて、ものによっては「今」のものよりもずっと新鮮で、現代アートらしかったのだ。4000年も前のものなのにそっちのほうが「コンテンポラリー」でカッコよかった。やっぱり人類もアートも大した進歩していないな。