Friday, August 05, 2011

Venice Biennale 2011

6月の14~17日、ヴェネツィアへ行ってきた。運よく、最後の日の午後を除いて天気がよくて、暑すぎなくて、とても楽しかった。(最後の最後で雨に降られて、濡れた服と靴のままで飛行機に乗るはめになったが、それはしょうがない。)僕には4回目のビエンナーレにはなったが、今回も2つのメインの会場よりも、町のあっちこっちにある新しい国・小さい国のパビリオンや関連イベントのほうが面白かったと思う。それは展示されているアートそのものだけじゃなくて、それぞれの場所を町の迷路に探し出す楽しみもあるし、展示スペースに使われているのは非常に古い建物ばかりで、場合によって長い間空っぽだったせいで半分ぼろぼろのところもある。そういった建物の独特の雰囲気も、その「味」と現代美術作品との対話もヴェネツィアにしか体験できない醍醐味だ。

でもまずメイン会場の一つ、ジャルディーニのほう。

Giardini
そこで目立っていた(耳立っていた?)のはとにかくアメリカのパビリオンだった。ときどきとんでもない騒音が公園中に響いていて、近づいてみるとこんな感じだった。

The ugly American? Possibly.
The noisy American? Absolutely.
やっているときは本当にうるさくてしょうがなかった(周りのパビリオンには永来迷惑だろう)が、さいわいずっとやっているわけではない。走っているのはプロのアスリートだそうだ。パビリオンの中にはときどき体操のパフォーマンスも行われるらしいが、それは見なかった。でも中にはもう一つのすごい機械があった。なんと、パイプオーガン付きの自動払機(ATM)だ!もちろん、実際にお金を下ろすこともできるんだ。暗証番号などのキーを打つと、オーガンから複雑な音が出る。今回のビエンナーレのヒット作品の一つだと思う!
フランスのパビリオンのボルタンスキ展は前の評判がよくて、楽しみにしていたのに、その日は故障中で結局見れなかった。
個人的に一番好きなパビリオンはオーストリアだった。床まで届かない複数の「半壁が」スペースを迷路にして、隅には顔や体に不思議な医学の道具(?)を付けている人のポルトレートがかかったり、
なかなかいいビデオが二つの部屋に分かれて流れたりして、
その環境音楽のようなサントラが部屋全体に響き渡っていた。とても気持ちいい空間だ。

メインパビリオンには16世紀の巨匠のティントレットの大きな絵が一種の目玉のつもりだっただろうが、そこに厳しい警備の中にあっただけで、別にほかの作品と「対話」しているわけじゃないからあまり意味がなかった。それをばかにするためなのか、Maurizio Cattelan のハトたちがあっちこっちから観客を見下していた。
床に落ちていたようにあった(が、もちろん接着された)のは、今かなり流行っているみたいの Ryan Gander の未来の25ユーロのコイン。インフレが現在のペースで続くと2030年あたりにそんなコインが必要になるんだって。
僕が一番気に入ったのは Luigi Ghirri という1943~1992年のイタリアの写真家のちょっとふざけたがなかなかチャーミングな写真。以下の僕の下手な写真ではその魅力がうまく伝わらない可能性があるが、もともとかなり小さい作品の一列が一つの壁に飾ってある。

Arsenale
もう一つのメイン会場のアルセナーレには少なくとも2つのすばらしい作品がある。それだけで元がとれたな、という感じだ。
まずは「光の彫刻家」の James Turrell の Ganzfield Piece。色光で壁が消えたり、空間の大きさが完全にわからなくなる「部屋」なんだけど、脳が騙される現象なので言葉ではなかなか説明できなくて、自分で体験しなければならない。以下の写真は紫の絵やプロジェクションじゃなくて、部屋その入口のものなのだ。
Not a purple picture, but the entrance to James Turrell's "Ganzfeld Piece"
なお、部屋に同時に入れるのは3人までで、5分もいることができるから行列は半端じゃない。僕たちは45分並んでやっと入れたが、出た時の列の長さは2時 間分にも見えた。
(そこでこれからヴェネチアへ行く予定の人へのちょっとしたヒント:コツはたぶんアルセナールがオープンする朝10時にさっそくその部屋まで走って並ぶ こと。あとで展覧会の初めのほうに戻って最初から見ればいい。)

もう一つのすごい作品は Christian Marclay の The Clock。
今回の個人賞を受賞したし、結構話題になっているが、やっぱり最高!人が時計を見たり、背景に時計が映ったり、あるいは時計のような形をするものが映った りする映画のシーンばかりを編集した24時間の作品なんだけど、その膨大な材料を集めること実態はもちろんすごいことだが、編集のリズムもまたいいし、使っている映画の幅も面白くて映画マニアはたまらない。長く観ても全然飽きない。また秒までぴったりとリアルタイムに合っているのもすごすぎる。本当は全部見たかったが、24時間のものだからそれはもちろん無理だけど、結局30分以上ずっと座って観ていた。
YouTube には数分出ているので、勝手に引用させていただきます。

ちなみに、この作品は今週末始まる横浜トリエンナーレにも上映される予定だ。もう少し見るのを楽しみにしている。しかし、そこで同じ問題が出てくる。作品はリアルタイムに上映されるので、展覧会が開示している時間帯(つまり10時~18時とか)の部分しか見ることができない。夜の部分などはどうなっているのだろう。いつ、どこで見ることができるのかな。

今回のビエンナーレのテーマの Illuminations の裏を取った Urs Fisher のろうそくの作品も面白い。少しずつ燃やして、なんとか11月まで持つ予定だが、どうでしょう。



Around town

今年は参加する国も記録的に多いし、関連イベントも多い。その中にも特に見たかったのは San Giorgio Maggiore島の教会の中の Anish Kapoor の"Ascension" (昇天)というインスタレーション。入場は無料だが、船で行かなきゃいけないので、馬鹿高いボートパスを買うことになったが、その価値があった。
少しだけ出ている煙が...
...とつぜん黄色い渦巻きになって上に上る。神秘的ではあるが、扇風機がちょっとうるさすぎる。ビデオのほうでもっとよくわかるのかな。
(縦のビデオも撮ったが、それをパソコンやブログにも縦に移るようにする方法がわからない。)

せっかくのボートパスがあったおかげで、5回目のヴェネチアで、やっと初めて Giudecca にも行くことができた。そこにはアルバニアのパビリオン...
 ...や I Miss My Enemies という関連イベントがある。
そして、なんと自転車に乗っている女の子も見た!あまりにもびっくりして写真を撮るの忘れたが、行ったことのない人がそれがどれほど不思議な風景なのか分からないだろうが、行ったことのある人は想像してみてよ、ヴェネチアでの自転車!

前回のビエンナーレに続いて、今年もガラスでできた作品ばかりを集めた(というより、旬のアーティストにガラスを使った作品を作るようにお願いした) Glasstress という展覧会が面白かった。残念ながら室内で撮った写真はいまいちになってしまった(ガラスが撮りにくい!)が、庭にある Erwin Wurm の「狭い家」は傑作だ。

家実態もそうだが、すべての道具や家具の幅も省略されている。一人ずつ廊下を通ることができるが、デブは入れない!
おととしの展覧会は街の中の2か所に行われたのに対して、今年は半分がムラノ島にあるが、また残念なことにそこまで行く時間がなかった。

おととしのもう一つのヒットは Museo Fortuny に展示された、ベルギーの大物コレクタの Alex Vervoordt の「珍品の盛り合わせ」。TRA という今年のヴァージョンはおととしほどのインパクトがなかったかもしれない(ダブっているものも少なくない)が、やっぱり十分見ごたえがあった。撮影禁止なんだけど...
(ちなみに、アルセナーレの Turrell の部屋に並ぶ暇のない人にはここにも同じような、もう少し小さい「騙し部屋」がある。)

騙し部屋といえば、今年はそういうのが多かったような気がする。ルクセンブルグのパビリオンもそうだ。



Lost in the funhouse

その近くのスロベニアのパビリオンも面白かった。最初はピンとこなかったが、「触ってみてください」という看板を見たらわかった。
2階にある、この宇宙人のような彫刻が湿っていて意外と冷たいが...

 ...ヒートポンプで1回の彫刻につながっていて、そっちのほうがかなり暖かい!


今回は2つのメインの会場に近い Via Garribaldi のホテルに泊まっていたので、実は着いた日の午後、一番最初に回ったのはその周辺のパビリオン群。
イラクも...

...バングラデシュも....
よかったし、となりにまたインドネシアの Jompet のインスタレーションがあった。
そして向かいの建物はウェールズのパビリオンで、そこのTim Davies による橋の絵が気に入った。最初はドローイングに見えるが、実はもっと複雑な仕掛けだ。なんと、全部が橋がモチーフの普通の観光客用の絵葉書だが、橋以外の部分がサンドペーパーで完璧に消されている。


あとはなにがあったっけ。Future Pass という、主に若手のアジアのポップなアーティストを集めたショーにはこんなのがでたし....

.... Palazzo Bembo に Personal Structures という、ちょっと気取った(しかも10ユーロかかる)展覧会があった。でもその中にはこの不思議な作品を見つけた。17世紀のオランダのブルジョアの婦人のポルトレートに見えるが、実はちょっと不気味なビデオだ。歌っているのは、当時オランダの植民地だった南アフリカの悲しい歌、現地のとても発音しにくいクリック音だかれの言語で。(コンピューターによるノイズではありません。)





おまけ:

Venice by Night

相変わらずの洪水に...
... 月食!

また、いつも水がたまりがちのサンマルコの広場の問題が少しわかってきた。実は水が近くの岸壁を超えて入ってくるのではなくて、凹んでいる間中あたりから湧き上がってくるのだ。


Street Art
趣味はいろいろあるね...



Foie Gras
ヴェネチアはあまりグルメの街じゃない(というか、どうでもいい料理をべらぼうに高い値段で観光客に出すところが圧倒的に多い)が、今回は Ai Mercanti という、本当に素晴らしいレストランで今年の一番おいしいディナーを食べた。これはそのオードブルのフォアグラの盛り合わせ。
ミカン入りのテリーン、フォアグラのクレーム・ブリューレ、ポアレ、そして....

はい、フォアグラ入りのプラリーンだ。(昔から自分で作ろうと思ったことはあるが、実際にあるのね。)それにまた世界で一番「僕向き」のワイン、Torre Fornello、がでた!

Monday, July 25, 2011

Aircon

5月の下旬から7月の初めまで、旅行(まず香港、そしてタイ経由のスウェーデンとヴェネツィア)へ行ってきた。戻ってきたときはちょうど梅雨明けで、その時期には記録的に暑くて、毎日例年より5度も暑かった。しかも、おととしの神奈川県のこのへんの環境犯罪のせいで部屋の中も以前より5度ぐらい暑くて、毎朝目が覚めるとすでに35度を超えていた。それを2週間我慢していたが、夜はよく眠れなかったし、昼間は仕事もできない(ちなみにその逆も不可能だった)。それがさらに2カ月続くことを考えると、もう阿呆らしくなった。それでとうとうギブアップしてしまった。長年変に自慢していたエアコンのない生活。買ってしまったんだ。
案の定、買った日の次の日から涼しくなったが、それはしょうがない。

その生まれて初めてのエアコンは昨日届いたんだ。
ところが、昨日も今日もそんなに熱くなかった(31度とか?)し、エアコンのない生活に慣れているから、まだ使っていない...

Sunday, May 22, 2011

今更... 去年のHong Kong Art Fair

来週はまた香港アートフェアー。去年はとても楽しかったから今年も行く(実は出発は明日の朝だ)が、その前に1年遅れての去年のリポート。(ああ、なさけない... 写真の一部はとっくに昔アップしたが、文書を書く時間はその時なくて、「保留」のままだった。よくあることだ。)

今更あまり詳しいことを書いてもしょうがない(というか、細かいところまではもう覚えていない!)が、以下はいくつかの気に入った作品やアーティスト。特に順番がない。

Jompet Kuswidananto @ Ark Galeri, Jakarta
この人の作品の歴史的、政治的な背景はあまりよくわからないが、いつも魅力的で不思議なインスタレーションを作っている。


Suh Do-Ho @ Lehmann Maupin
これも大好きなアーティストの一人。その昔のHermesでのインスタレーションが最高だった。



Sarah Bridgland @Man&Eve
この若手のイギリスの女性のアーティストは僕にとって、有名なアーティストが多いこのフェアーの中の一番の発見だった。それだけじゃなくて、上の作品のほうを買ってしまったんだ!(あの緑色のところが好きだということはみんな十分わかるでしょう。)


Gary-Ross Pastrana @ Silverlens
このフィリピンのアーティストは最近ちょっと気になっていて、今年の2月にはバンコクにも展覧会を見た。結構面白いことをやっている人だ。


Performance by Li Wei


樫木智子@ Ota Fine Arts
期待の新人、というかまだ20代なのにすでに大物扱いのようだ。僕は以前から注目しているが、今まではかなり大きい(=買えない)作品ばかりだったが、今年の秋には小さい作品の発表もあるらしい。



Performance by Erina Matsui



Damien Hirst の作品がやたらに多かった


Birdcages with live birds

地下鉄で見つけたありえない看板。なんとエスカレーターのアナウンスのところにはマイクロソフトのエラーメッセージじゃないですか!(自分で言うが)傑作!


もちろんグルメもちゃんとした。このChee Kee というお店は(少なくても去年では)世界の一番安いミシュランの星のレストラン。でもなぜだろう?決して悪くはないが、「その辺のうまいラーメン屋」とどう違うのかよくわからない。名物のはずのワンタンは普通だったが、キノコは確かに絶品だった。




もう一つのミシュランの星のレストランのBo InnovationはMolecular Chinese系で、当然そんなに安くなかったが、それでもセットランチは全部込みでも4000円もしなかった。フォアグラの餃子なども悪くなかったが、上の写真のほうのカリフラワーのリゾットのトリュッフソースはたぶん、去年食べたもの中では一番おいしかったと思う。はい。来週、また食べに行こうかな。


去年のアートフェアーはすでにスケールが大きかったが、今年はその倍にもなりらしい。楽しみ!

今更... おみずとり

3月11日の地震の日は京都にいた。「ミス」したわけだ。京都にも多少揺れたらしいけど、僕は気がつかなかった。しかし、そのあとニュースを聞いて、夜はホテルでテレビを見たり、海外の友達からの「大丈夫?」のメールに必死に返事したりしてから観光に集中するのがちょっと難しかったが、とにかく僕も家も猫も無事だった。

京都にいたのは、12月の渋い「おん祭り」に続いて、もっとミーハーな「おみずとり」を見に行ったが、奈良のホテルは満室だったから京都に泊まることにしたのだ。しかし....

込むだろうとは予想していたが、奈良に着いたときちょっと観光局によったら、「3時間前から並ばないと見れないよ」と言われてしまった。というわけで、7時半ごろ始まる予定だったから、一応5時ごろには東大寺へ行ったのだ。人がすでにいっぱいいたが、ただそこに立つこと以外はすることが何もなくて、どんどん寒くなったし、背中も痛くなった。
ようやく始まると、最初の数分間はこんな感じだった。

 
そこまではいいが、そのビデオの最後の数秒のところでいやの予感がしない?
 
そう、そこで突然ドアホウの警察官のメガフォン組が活躍し始めて、せっかく何時間も並んだ人がさっそく追い出されて、後ろに立つ人(つまり全然並ばなかった人)も順番に見れるように。しかも耳が本当に痛くなるほどうるさかった。1260年の聖なる儀式がなんのその、「ここに立ち止まらないでくださ~い!大変危険で~す!!」、「止まって写真撮影は迷惑になるから禁止で~す!」。バカヤロー! みながなんのためにわざわざ遠いところから来たのかと思っているのだろう?始まってから15分たたないうち、もうすでに外に出されていた。12本のはずの松明の3本しか見れなかった。
本気に怒ったのはもちろん僕だけじゃない。同じく数時間並んでいたおばさんたちも「これは詐欺だよ!」 と。ま、イベントそのものは無料だから本当に「詐欺」といえるかどうかがわからないが、あんなものに観光客を呼ぶのは明らかに詐欺だとしか言いようがない。やっぱり最低だった。行く価値なし!YouTubeで見ればいい。

Friday, April 01, 2011

自粛を自粛

大震災から3週間がたった。その日はたまたま京都にいたので、地震を「ミス」したが、ニュースを聞いてびっくりした。そのあとは観光に集中するのがちょっと難しくなったが、その話はあとで(いつか)書く。
ちなみに、うち(と金沢八景近辺)には数時間の停電を別としてなんの被害もなかった。本棚が倒れたり、がけっぷちの上の家が落ちてきたりするんじゃないかとちょっと心配していたが、なにもなかった。おボツさまももちろん無事だった。最初の一週間は東京電力の計画停電のから騒ぎに振り回されたが、今はこの辺はもうほとんど普通の状態に戻った。大使館が騒いだりしたが、逃げるつもりがまったくない。
ところが、先週は東京へ2回行ってきたが、すごく暗~い感じだった。節電のためにイルミネーションや街灯が消されたことじゃなくて、雰囲気のことだ。楽しみにしていたイベントをはじめ、なんでもかんでもが中止になったりしたし、「花金」なのに飲食店は8時に既にしまっていたし、おまけに「ブラックレイン」に降られてしまった。電気不足や物不足のような物理的な理由、あるいは参加する人の上京・来日の中止で開催できなくイベントはしょうがないけど、あの「自粛のための自粛」はやめてほしいな。まるで昭和天皇がその昔亡くなる時のようなムードだ。「苦しんでいる人がたくさんいるのに、あまり楽しんではいけない」のような、原理主義の宗教団体臭い理屈は本当の被害者のためにはもちろん、だれのためにもならないよ。首都圏のみんなが無理心中すればいいわけ?その状態がしばらく続くと、つぶれるお店や企業が爆発的に増えることは間違いなし。そしてこんどはその失業者を助けなければならない。だめだよ!節電はもちろんこれからも大事だが、憂鬱と不況を招く半強制的な「自粛」はいらない。
ま、今週は 天気が良くなったし、桜はもうそろそろ咲くし、「花見の自粛」を呼び掛けるバカがいるらしいが、無視しましょう。今週末はアートフェア東京こそが延期になったが、それ以外のアートのイベントが結構たくさんあるから楽しみにしている。

そしてアートといえば、地震の前に週に買った、桜の季節にピッタリの吉岡雅也さんのこの絵が昨日届いた!いいよね!

Tuesday, February 22, 2011

干支を食べる

数年前の戌年、犬を食べに行ったとき、一緒にいた友達が「干支を食べる、というのは面白いアイディアだね」と提案した。そのあとは結局そんな習慣にはならなかったが、僕はなんとなくほとんどの干支の動物を食べてきた。ただ、「辰」はやっぱりちょっと難しい。龍の肉が手に入りにくいから、「比喩」(竜田揚げ?ドラゴンフルーツ?)で食べるしかないかもしれない。本物の鼠にもまだ挑戦していないが、それを出すところは一応あるらしい、東南アジアとかには。(ちなみに、「比喩」では、ネズミはスウェーデンのグミキャンディーの伝統的な形の一つで、子供のころよく食べた。)

で、今年は「卯」だが、日本にはウサギ料理が以外(?)と見つけにくいと思う。スーパーはもちろん、紀伊国屋やデパチカの肉屋さんにもウサギ肉なんかを見たことないし、季節によっては一部のフランス料理のお店には出るだろうが、そんなに数多くはないし、ランチメニューには見たことない。結局、日本では1回しか食べたことない。
今回は一応こんなウサギ肉のテリーンを見つけた。ま、それでいいか。 赤ワインと相性が良くて、結構おいしかった。
しかし、よく考えると和食のウサギ料理がないことはちょっと不思議だ。昔の人はわざわざ「鳥」にしたのにね。「一羽のうさぎ」は食べてはいけない動物の「肉」じゃなくて、食べてもいい「トリ」になった。馬が「さくら」、イノシシが「牡丹」に変身したのと同じなのだ。でも昔の日本人はウサギをどういうふうに食べたのかが気になる。

ちなみに、これはボツ用の「カツオとマグロのテリーン」。中身は上のびんとそっくりだ。

タイにはウサギがいないから「ウサギ年」じゃなくて、「ネコ年」だ、と聞いたことがあって、この前にも書いたが、今ウィキペディアをみると、タイじゃなくてヴェトナムのことだって。実際、今月の初めにタイへ行ったときは旧正月の前の日だったから、中国系の人が多いバンコクにはウサギの飾りがいっぱいあったし、生きたウサギも少なくともこの「一羽」がいた。なぜか「戌」用のわんから食べているんだけど。

Monday, January 17, 2011

From the cradle to the grave

はじめて気がついたのは去年の春ごろだったのかな。飛ばしている京急の電車の窓から、一瞬だけしか見られない風景。最初はまさか、そんなことはありえないだろうと思ったが、何回か乗っているうちに確認したらやっぱり本当だった。そう、あの黄色いものはなんと2階から墓場への滑り台だ。しかも荷物(死体?)用じゃなくて、やっぱり子供のためだ。
Surely it can't be? ... but it really is:
a slide from the Buddhist kindergarten (!) on the second floor
down to the graveyard below.

しかし、電車はそのところでかなりのスピードを出しているから、写真を撮るのが非常に難しかった、少なくとも僕の普通のデジカメで。シャッターを押すタイミングだけじゃなくて、天気や載る時間帯ももちろん関係するし、そしてなんといってもまずそっちの窓際の席をまず獲得しなければならない。何回もほかの乗客に変に見られたり、となりに座っている方に断ったりしながら試してみたがなかなかうまくいかなかった。でもこの前やっと取れた!

気になったから、自転車(!)でも見に行ったが、線路とそのお寺のあいだには道がなくて、墓場は塀に囲まれているから、あまり近くへは行けないが、 表を回ると、そのお寺になんと仏教系の幼児園が隣接している。どんな遊びをするのだろうね。

Saturday, January 01, 2011

Surreal

全然関係ない三つのもの:
Name notwithstanding, a fairly bland brand of Brazilian chocolate.
すごいブランド名にもかかわらず、味はごく普通のブラジル製のチョコレート。
Godzilla in Oppama
先日、12年前の「ピョッツ」のはがきを探したとき、その昔、たしかにスパイラルの2階で買ったこの天才的なイラストのはがきも出てきた。でもそのアーティストはだれだろう。裏には「© 1992 YASUO FUJIMOTO」としか書いていないが、ローマ字で検索してもそれっぽい情報が出てこないし、"Yasuo" の漢字がわからないから日本語でも検索しにくい。だれかわかる人がいたら教えてください。

卯 / Year of the Rabbit

12年前、こんな年賀状(およびクリスマスカード)を作った。まだアナログのカメラで撮った写真をスキャンして、生まれて初めてフォトショップでへたくそに製作した。先日、その12年前のちょっと黄ばんでいるはがきを探し出して、再びスキャンしたが、まだ使えるよね。モデルだったボツはもちろんまだ元気だよ(今、となりに寝ている)。

ちなみに、ウサギがいないタイでは「卯年」じゃなくて、「猫年」だそうだが、タイの正月は4月だからまだ始まっていない。

Friday, December 31, 2010

速度びより / Rolling Velocity - A Radical History Tour

今年も面白いバイリンガルの本の翻訳を担当させてもらった。去年の太陽系の本に続いて、またもグラフィックデザイナの松田行正さんの本なんだけど、今回は松田さんの幼い娘のサラちゃんが「主人公」になっている絵本だ。しかし、文書のほうはなんと美術・技術・デザイン(など)における速度の概念の思想史のようなものなので、はたして子供のための絵本なんだろうか。むしろ、いわば「オヤバカ」の本なのかもしれないが、それはともかくとして、面白くてかわいい!

松田行正(著)速度びより (ラジカル・ヒストリー・ツアー) English translation: Jan Fornell

This year too I had the pleasure of translating another bilingual book for the graphic designer Matsuda Yukimasa. Following last years model of the solar system, this one is a picture book featuring Matsuda-san's young daughter Sarah. The text, however, is a condensed history of the notion of speed in art, design and technology, so perhaps it's not so much a book for small children really. It is very much a book, though, for anyone who is interested in graphic design or who likes cute and fun books in general.

Tuesday, December 28, 2010

おん祭

去年、奈良の春日大社の「おん祭」についての記事を翻訳したことがあった。それで興味がわいてきて、自分の目で見たいと思った。去年はタイミングが合わなかったが、今年こそ行ってきた。そのお祭りは平安時代から始まって、870年以上途切れなく続けて行われているが、 普通のヤキソバとお酒のお祭りと全く関係ない。逆に、舞楽や雅楽など、平安時代の文化そのままで、相当しぶいわけだ。そして後でわかったが、相当寒い!

お祭りのいろんな儀式が15日から始まるが、メインは12月17日の24時間なので、それに合わせて行った。まずは午前0時行われる「遷幸の儀(せんこうのぎ)」。それは神霊を若宮本殿からお祭りのために作られた「お旅所」に運ぶ神秘的な儀式だが、神秘であるからこそ闇の中で行われている。写真、ビデオの録画や懐中電灯の使用は禁止で、ケータイなんかはとんでもない。「神に失礼」にあたる。しかし、現代人はバカである。いや、昔の人に比べて本当にバカなのかどうかは不明だとしても、昔の人に比べれば今のバカは迷惑をかけることができる、そして迷惑になる道具を持っていることは間違いない。実は、この夜は満月の数日前なのに、月の光は眩しいぐらい明るかった。奈良の公園の奥の「闇」といっても、月光によるさえくっきり見えた。少し慣れれば、全然「暗い」感じはしなかった。本まで読める訳じゃなかったが、(アナログの)時計の時間をみるのは問題なかった。ところが、ぎりぎりまでケータイを手放せない人は数え切れないほどいた(神秘の儀式を待ちながらMIXIをやるばあいじゃないでしょ?)し、そしてなんといってもぎりぎりまでフラッシュを使って記念写真を撮ったりする、絶対許せない大バカヤローもたくさんいた。もちろん、そのフラッシュが近くに立つ人(僕とか)の眼に入るとせっかく暗さになれた視力がパッになってしまう。えらい迷惑だ。
23時ごろホテルから出て、参道の春日大社のかなり近いところに立って待っていたが、24時になると、神社のほうの光が消えることが分かった。いよいよ始まるんだね。そして、しばらくして神霊を運ぶ行列が通った。宮司や巫女がいる、ひちりきを吹く人がいる、そして神霊が入っている「なにか」を枝で囲む人がいる。見た目も不思議だったが、一番すごかったのは音のほう!神社のホームページには「「ヲー、ヲーの声」と説明されているが、それとひちりきなどの音が混ざって、千年前の響きなのか、宇宙の声なのか、とにかく聞いたことのない、本当に毛が立つほど神秘的な音だった。あれを聞くためだけでもこのお祭りに参加する価値がある。また来年聞きにいきたいなと思う。(ちなみに、撮影は厳禁だが、録音はどうだろう。ちょっとネットで探したが、そんな情報が見つからない。)
行列の最後尾に合流して、お旅所まで。そこに神霊が入ったら、火がついて、いろんな祈りや儀式、そして神楽が行われた。時間はもう夜の1時半を回ったし、気温も零度に近かったが、かなりたくさんの人がいた。でもそのうち寒さに負けて、ホテルの温泉に戻った。
 
 次の日(というか、同じ17日の昼間)にはまずお渡り式というパレードがあった。後の「お旅所際」に参加するパフォーマーなどが平安時代の衣装で通るが、役割不明な道具や「帽子」などが多い。
たとえばこの田楽の団体の「ミニフロート」...
...があとで、なんとかぶり物になってしまう!
Carmen Miranda, you got nothin' on me!
でもそれをかぶっても、別になにかを「やった」気配は全くなくて、高い下駄の上にそこに立っていただけのようだ。
もっとも、お旅所での演技はすべて神様のためなので、神様に向かって行われている。それは同時に一般の観客に背を向いているわけだから、なにをやっているのかがよく見えないことが多い。たとえば、この田楽は能のような短いものを演奏したらしいが、こんな距離(15メーター?)からでも全然見れなかったし、なにも聞こえなかった。
お旅所は毎年お祭りのために建てられるが、屋根は神社の大昔の形だそうだ。
午後の神楽。左には巨大な火炎太鼓の片方が聳え立つ。(右にも違う1個がある。)
子供の演奏者の着替えには大人たちが手伝う。暗くなってからは同じ舞の大人版もあったが、大人たちは自分で着替えることができた。
どんどん暗くなって、寒くなった。この日は今年のそこまでの一番の冷え込みで、ひょっとして0度を下回ったかもしれない(猿沢池の表面が凍っていたようにみえた)。上の「細男」(せいのう)を見て、ちょっと休憩をして、温かいコーヒーを飲みに行ってきた。
演奏は順番に何時間も続いていた。これは不思議な琴の引き方。二人が琴の両側を持ちながら、もう一人が引いている。残りの人は歌。

舞楽は衣装がすごい迫力だが、舞そのものはとてもゆっくりしていて、雅楽もかなり単調だ。そのうちあの「仮面に似合う」大胆な動きやステップがあるんじゃないかと期待しながら見ていたが、いくら待ってもそういうような派手な動きは結局でてこない。最後まで非常に遅くて、意味がありそうだが意味がわからない細かい動きやポーズだけだ。それがつまらないというわけではない。むしろ、不思議な魅力があるような気がする。なんといっても魔法なんだから!ただ、厳しい寒さの中に何時間も立って見るのにやっぱり限界がある。別の季節ならもっと見たかったが。
昼間は人が入りきれないほど込んでいたのに、夜になると観客がどんどん減っていって、9時頃は招待席の客産を別として、僕たちのような立ち見の一般の観客は数十人しかいなかった。上の青い衣装の「キトク」というものを途中まで見て、夜10時ごろは僕たちももうギブアップ。あと2つの舞と神霊を返す儀式が残っていたが、手足の感覚はとっくに前からなくなっていて、歯もガタガタし始めていた。お旅所の近くには屋台とかそういうようなものがないから、結局街の中のまだ開いている居酒屋にを必死に探して、熱燗を頼むしかなかった。
ああ、奈良といえばもちろん鹿。自分の糞の後片付けに手伝う鹿もいるみたい。